氷の城、第一層
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シノンの首の下と膝の下に両腕を入れてその場から横に離脱
俺達がいたその場所をサイクロプスが駆け抜けていく
顔を赤くしたシノン(さすがに彼女を肩で担ぐわけにはいかないためにお姫様抱っこになってしまったためだと思う)を抱いたまま走る
もちろん、サイクロプスも後ろを追ってきている
他の面々はその速さに手を出しあぐねているようだ
「シノン、この状態で弓は射ることはできるか?」
シノンが軽く頷いたのを確認すると壁に向かうように進路を変える
「なら正面に向けて高さ2mくらいの場所に一つ。そのさらに2m上の少し左に一つ、矢を頼む」
もう一度シノンが頷くのを確認すると声を張り上げる
「全員攻撃を用意してくれ!」
口々に返事をしてくるのを背中の後ろから聞きながら壁に向かって加速する
シノンが放った弓矢が俺が要求した通りの場所へ突き刺さったのを確認し、俺は跳んだ
まず一本目、根本の方を蹴ってさらに上へ跳ぶ
俺とシノン、二人分の体重+踏み込みの衝撃に矢が耐えられるはずもなく矢が折れるがすでに俺達は上に跳んでいる
さらに二本目、矢の側面を蹴り、勢いのベクトルを上から横へ変更する
あとは軽量妖精のみが使用できるウォールランでサイクロプスの着弾予定範囲から離脱した
俺が壁に着いた際、サイクロプスとの距離がほとんどなく、サイクロプス自身の速度もかなり速かった
つまり、そのような状態で曲がりきれるはずもなく、サイクロプスは壁に激突、そして壁に埋まる
俺が攻撃指令を出していた面々がその隙を見逃すはずもなく、ソードスキルの多段攻撃でサイクロプスのHPの最後の一段が消し飛んだ
「シノン、大丈夫か?」
「う、うん……その……嬉しかった、かな」
シノンを地面に立たせると一息ついてシノンに目を向けるとかなり真っ赤だった
「シノン、一緒に行こっ!……感想を詳しく聞かせてもらうから……」
「えっ……えっ!?」
「リン君、時間が危ないから早く行くよ!」
ユウキがシノンをさらって行くのを苦笑いしながら見送り、リーファの声に軽く手を挙げて走り出す
第一層、突破
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