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銀色の魔法少女
第三十七話 悪化
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 全員が全員憎みあい、殺し合うように仕組まれたとしたら?

 そういう風に暗示をかけられたとしたら?

「まさか( ;゚Д゚)、じゃあこの殺し合いをしかけた張本人は――」

「正解」

 私はすぐに後ろを振り向く。

「ペルセフォネ……、じゃあやっぱりこれを始めた首謀者は(;・∀・)」

 彼女は首を一度だけ縦に振って、答える。

「そう、私」



 きっかけは些細なことだった。

 遼は私があげた三つ目の特典のおかげで私たちの暗示は効かない。

 でも、それがない刃まで正気なのはおかしい。

 ということは最初から暗示なんてかかっていなかったことになる。

 確実に生き残るために。

「……どうしてこんなことをしたの?(ー_ー?)」

 少しの沈黙があった後、彼女はこう言った。




                   「復讐」




side 遼

 これは少し前から見え始めた夢。

 目を閉じると浮かび上がってくる、過去の記憶。

 周りは人だったものであふれる荒野。

 私の右手は血にまみれ、左腕は既にない。

 私の意志は既になく、目に入ったもの全てを壊すだけ。

 道具はなく、その腕は肉を裂き、その脚は骨を砕く。

 そこに、黒いなにが現れる。
 
 敵の姿はおぼろげだけど、それが人だったのは分かる。

 まるで影のようなそれを私は殺していく。

 小さいのも大きいのも、細いのも太いのも、硬そうなのも柔らかそうなもの、関係なく殺していく。

 彼らが何かを落とす。

 それは円筒形で、まるで薬莢のよう。

 最近知った。

 これはカートリッジ、魔力を込めた弾丸。

 だけどそれを使っても、私を殺せない。

 彼らの陽炎のように揺らめく武器ごと、体をえぐる。

 それでも、彼らは襲ってくる。

 何を言っているのかはわからない。

 それを聞き取る耳も、既にない。

 そして、数え切れない人を殺し、誰もいなくなった丘で、私は一人、立ち尽くす。

 ?

 右腕が上がらない。

 見ると黒く変色し、本当に私の腕なのかも怪しい。

 見れば、私の体のほとんどが黒く変色していた。

 認識した瞬間、脚が崩れる。

 粉々の砂に変わり、体中にヒビがはいる。

 その隙間から、何かが抜け出る感覚がある。

 おそらく、私の中にいたブリュンヒルデが次の主を探すため、転生したのだろう。

 次は、ちゃんと扱える人だといいな…………。

 そう思ったのを最後に、私は崩れて消えた。




「…………………」

 相変わらず目覚めは最悪。


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