プロローグ
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俺がこの力を手にいれて、どれ程の月日がたっただろう
ただ普通の日々を過ごしていた俺に突然訪れた変化。それは俺の日常を真逆に変えてしまった
あれは、俺が五歳のことだ
当時の僕はただのガキだった。下らないことで意地を張るし、分からないことも多くて、バカだった。普通に親がいて、友達がいて、家庭は暖かかった。そんな生活を過ごしていた僕の目の前に、空を裂き、黄金の矢が僕の胸に突き刺さった
これが、僕の生活を激変させる厄災の物だと、誰が予想できただろうか…
けど、これは僕の物語の始まりではなく、ただの予兆だったのだ
けれど、背後に出てきた化け物を怯えながら見ている僕にはそんなことを理解出来るはずもなかった
―☆―
「…」
ある町の公園。子供たちが親に手を引かれて帰る午後五時
夕陽に射されながらブランコをこいでいる少年が、そこにいた
誰と遊ぶわけでもなく、ただ一人でずっとブランコをこいでいる
手を引かれて帰る子供たちを見守るように、そこにいた
少年を不憫に思うような子ももちろんいた。その度に「一緒に遊ぼうよ」と
しかし、少年は頑なに首を振った。その度に言う「僕を待ってる子がいるんだ」
少年には親がいない。正確には、明確な親がいない
親族の誰かの子なのは間違いなかった。名字が一緒だったからだ。だが、誰一人として誰の子か覚えていなかったのだ
「気味が悪い」
いつしか誰かがそう言うようになった。そしてそれは、親族に瞬く間に広がり
少年はあっと言う間に孤立した
幼い少年にはそれが理解出来るはずがなかった。親族はこう言った
「浦保君。実は君を待ってる子がいるんだ」
「僕を?」
「ああそうさ。ある町の公園で、君を待ってるんだ…君を必要としてるんだよ」
もちろん嘘だ。なんの根拠もない、突拍子もない話だ
しかし"誰かが自分を待ってくれている"そう思った少年は、元気よく頷いた
それを聞いた親族は、意味深な笑みを浮かべた
それ以来、少年は待っている。自分を待ってくれている、必要としてくれている誰かを
「…」
時刻は午後五時半。公園から子供は既に消え、そこには誰もいなかった
「…」
また誰も来なかった
落胆した。が、疑いはしなかった。叔父は今まで、一度も嘘をついたことがなかったから
「…」
これ以上待っても誰も来ないだろう
少年はブランコから降り、自宅へと向かい始めた
ザク、ザク
「!」
聞こえた。今確かに聞こえた。砂場で砂を掘り起こしている音だ
誰かがそこにいる。間違いなくいる
少年は迷うことなく、歩み始めた
それが、少年にとってとても大切な出会いだとは、今の彼には知るよしもなかった
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