第九十二話
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ろう。
「仕方ない。衛宮くんの家に行きましょう。あそこなら雨風は凌げるだろうし、今の段階じゃ無人だったのは確かめてあるわ」
凛に先導され、特に異論は無いので衛宮邸へと移動する。
門を潜ると草がぼうぼうに生えまくり、手入れのされていない家は傷んでいたが、確かに雨風は防げそうだ。
しかし、寝具の一組も無いのはいかんし難い。
しょうがないので勇者の道具袋を取り出し、その中から神々の箱庭を取り出した。
「チャンピオン、これは?」
「俺の別荘」
「これが?このボトルシップみたいなミニチュアが別荘?」
「まあね、イリヤ、そこに立ってくれ、凛も」
「ここ?」
「え、ええ」
俺に言われてイリヤと凛が所定位置に付くと、俺は手をかざし、中へと移動するボタンを押した。
一瞬で俺達は箱庭の中に転移される。
「なっ!なによ、ここっ!」
「綺麗な所ね」
驚く凛とは対照的にイリヤはそう言うものと受け入れたようだった。
中に入ると、時間の流れを弄り、外の世界と進行を同調させる。
外へと通じる転送陣から少し移動すると、武家屋敷風の大きな一軒屋が見えてくる。
時間の流れを極限に遅く停滞させていたので、その別荘に劣化は無い。
「今日は此処に泊まろう。生活用具一式は揃っている…所々使い方の分からない物も有ると思うが、そう言う物は触らない事」
何だかんだで他の世界で収拾した物で溢れかえっていたりもするからね。
未来の技術で作られた物品もあり、現代人じゃ使い方の分からない物も多数存在したのだ。
「露天風呂もあるから、凛と一緒に入ってくるといい。その間に夕食を準備しよう」
「え?ロテンブロって日本の外にある大きなバスタブの事よね?」
「その認識はどうなのだろうか…まぁいい、バスタオルは用意しておく。言っておいで」
「うん。行きましょうリン」
「え?ああ、うん…」
ようやく現実と受け止めたのか凛もイリヤに付いて露天風呂へと向かった。
風呂から上がってきたイリヤ達をありあわせの夕食で迎える。
普通の日本の一般家庭の夕食だ。
そう突飛な物は出していない。
「おいしいわ。さすがチャンピオンね」
「…まけた。けど、納得がいかない。サーヴァントがどうしてこんなに料理がうまいのよ…」
「料理なんてこなせば上達する物だ。俺は他人より多く時間を持っているからね。古今東西の料理を練習する時間には事欠かなかったんだ」
凛を凹ませた夕食も終わり、今日のところはとさっさと就寝する事にした。あの事故以来、結構めまぐるしいく変化した一日で、ストレスも相当だったのだろう。二人ともベッドに入るや否や直ぐに就寝してしまった。
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