第九十二話
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く嗚咽を洩らすイリヤをアイリスフィールはその背をポンポンと叩いて慰めていた。
その光景を後ろでセイバーがおろおろと見つめているが、イリヤにしてみればセイバーなど眼中にも無いのだろう。
ようやく泣き止んだイリヤに向かってアイリスフィールが優しく問いかける。
「あなたのお名前はなんて言うの?」
イリヤはその質問に一瞬詰まってからか細い声で答えた。
「…アリア」
「そう、アリアね。アリアはアインツベルンのホムンクルスで間違いないかしら」
コクリと頷くイリヤ。
「そう、それじゃどうしてあなたはこんな所に居るの?」
「…わからない。気がついたらここに居たの」
「気がついたらって…」
うん、嘘は言って無い。確かに気がついたらこの時代に居たといっても良い。
「アイリスフィール、その子をどうするのですか?このままでは戦闘に巻き込んでしまう。それに第一、その子がアインツベルンのホムンクルスであると言う証拠は無い」
セイバーはそう客観的な見地から物を言う。
「そうね。でもこの子はアインツベルンのホムンクルスよ。だって、こんなにも私に似ているのだから」
彼女にしか分からない何かでも有るのだろうか。彼女は確証を得ているようだった。
「それで、その子をどうするのですか?アイリスフィール」
「そうね…このまま此処に置いてはおけないわ」
「なっ…連れて行くというのですか!?流石の私も二人では守りきれるかどうか」
「安全な所…冬木の城まで連れて行けば大丈夫よ」
「アイリスフィールがそう言うのなら…しかし、今はタイミングが悪い」
セイバーはふっと視線をあらぬ方向へ向けた。
「これは明らかにこちらを挑発している」
「そう。サーヴァントなのね」
「どうします?アイリスフィール」
この挑発を受けるのか、受けないのか。イリヤを連れて行くのか、行かないのか。
「それは…」
「わたしの事は気にしないで大丈夫。二人には大事な用が有るのでしょう」
と聞き分けの良い子供のようにイリヤは言った。
一瞬逡巡したアイリスフィールだが、連れて行くのは危険だと判断したのだろう。
「ここで待ってて。かならず戻ってくるから」
と言い置くと、セイバーを連れて去っていった。
それを確認してから俺は実体化する。
「イリヤ、彼女は…」
「うん、わたしのお母様。十年前の聖杯戦争で死んじゃった」
「そうか…」
少しの間沈黙が支配する。
「だが、イリヤのお母さんが生きていて、尚且つセイバーを引き連れているとなると…」
「そうね、おそらく今は聖杯戦争中…チャンピオン、ここからお母様たちを覗ける?」
「多少イリ
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