第九十二話
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んじゃったわ」
彼女達魔術師の常識で考えれば最強の幻想種であるドラゴンの背に乗っているのだ。さもありなん。
結局冬木外延部の工業地帯へと降りるまで彼女が再起動する事は無かった。
「はっ…夢ね、私は今夢を見ていたのよ…いえ、でも世界を越えたのは事実のはず…って事はさっきのは現実っ!?」
ようやく再起動した凛の提案で二手に分かれて街の調査へと乗り出した。
俺とイリヤはシーサイドを歩きながら冬木市の新都へと向かう。凛は逆に自宅がある高台の方へと向かうらしい。
新都へと入った俺達は、割と簡単に現状を確認する事が出来た。確認した日付はおおよそ10年前。地名や番地は変わらずにどうやらここは冬木市で間違いないようだった。
一番必要な情報を手に入れた俺達は更に差異が無いか調べようと散策する。
しかし、イリヤの様子がおかしい事に気がついた。
なにかそわそわしている、そんな感じだ。
「イリヤ?」
と、声を掛けた時、イリヤは何かを見つけたのか固まってしまった。
イリヤの視線の先に目を向けると、そこには白い髪に紅い目をした丸で白い妖精のような女性が黒いスーツを着た麗人を引き連れている。
その白い髪の女性はどことなくイリヤに似ていた。
その彼女が此方へと歩を進める。向こうはこちらに気がついて無いのだから、ただの偶然だろう。
「チャンピオン…霊体化して出来るだけ気配を絶って…」
「え?」
「お願い…」
イリヤにお願いされれば逆らい辛い。すぐに俺は霊体化する。
歩いてきた女性がイリヤの存在に気がついたように彼女を見つめた。
「…なぜ、こんな所にアインツベルンのホムンクルスが…」
そんな事を呟いてその白い女性はイリヤに近寄った。
「アイリスフィールっ」
後ろの黒いスーツの麗人が制止の声を掛けるが彼女…アイリスフィールと呼ばれた彼女は止らなかった。
て言うか、アレってセイバーじゃない?
え?どういう事?
「当主から何か言伝を預かってきたのかしら?」
フルフルとイリヤは首を振る。
「そう。それじゃあ何の用なのかしら?」
イリヤは答えない。ただその瞳に涙を浮かべている。
「どうしたのかしら…ホムンクルスにしては感情が激しい子ね…と言うか、子供のホムンクルスなんて居たかしら?」
イリヤは感極まったのか、アイリスフィールと呼ばれた彼女に抱きつき、無言で泣いていた。
懐かしいだれかに出会ったとでも言うように、亡くした誰かに出会ったとでも言うように…
これだけ考えればおのずと彼女が何者なのか見えてくる。
おそらく彼女はイリヤの母親だ。死別した母に似た存在にイリヤは感極まってしまったのだろう。
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