第九十二話
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言った凛はようやく踏ん切りをつけたようだ。
二人が俺に掴った事を確認すると俺は右手を垂直に振り下ろし、この空間を切裂いた。
切られた空間は俺達を放り出すとすぐさま癒着し、消えてなくなる。
放り出された俺達は石造りの床の上に着地した。
イリヤと凛が離れたところで俺は大量の魔力行使の反動で膝を着く。
「くっ…」
「大丈夫?チャンピオン」
「大丈夫だ。問題は無いよ」
ソルを腰の鞘へと戻すと辺りを確認する。
その間もソルが環境データを観測し、この風の結界を解いても俺達が生存可能かどうか調べ上げる。
結論は可。それを聞いてようやく俺は風の結界を解除した。
「ここは…イリヤスフィールの城?」
辺りの視界に映った物を見た凛が言った。
「え?あ、本当だ…でも、少しちがう?」
イリヤも確認するが、どうやら此処は先ほどまで居た場所と造りが似ている。が、しかし、良く見れば調度品の類の相異が目に付く。
「少し、調べてみよう」
と俺は提案し、不慮の事態を避けるために皆一緒に行動する。
まずはエントランスを出て外へ。それからもう一度中に入り内部を捜索する。
やはり似ているが、先ほどまで居た城ではない。生活感が欠けている。
しかし、どうやらここはアインツベルンの聖杯戦争における居城で間違いないようだ。
日付を確認できるようなものはこの城には無かった為に日の高いうちに森を出てみる事にしたが、この城から一番近い国道へと出たのは良いが、こんな僻地にはあまり車は通らない。
「冬木市へ行こうにもタクシーは愚か車一台通らないってどういう事よっ!」
うがーと吠える凛。何かに当たりたいだけだろう。
「もう直ぐ日が暮れるわ。そうなったらチャンピオンに運んでもらいましょう」
「運んでもらうってどうやってよ…」
「ふふっ…リン、楽しみにしておきなさい。めったに出来ない経験をさせてあげるわ」
と俺よりもイリヤが優越感に浸っているのは何故だろうか…まぁマスターだから良いのだけれど…
日が落ちるまで結局車一台通らず、辺りは暗闇に包まれたころ、俺達は闇夜を舞っていた。
「チャンピオン、もっとスピードあげなさいっ」
「はいはい」
お嬢様のリクエストに応えて翼をはためかせると、夜風を切裂き飛行する銀の竜。
ドラゴンに変身した俺だ。
変身した俺に二人を乗せて冬木市の郊外へと向かっているわけだが、背中に乗っているはずの凛の反応が無い。
「…………」
「どうしたの?リン。呆けちゃって…おーい、リン?聞いてる」
「…………」
イリヤ反応を返さない凛の目の前にひらひら手を振っている。
「ダメね、完全に頭のネジが飛
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