第九十二話
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よっ」
自棄になった凛はイリヤの方まで走り寄る。
「こっち、来ないでよリンっ!」
「いやーーーーーーっ!」
「こら、最後まで制御を諦めるなっ!」
混乱がその場を支配して、閃光が俺達を包み込むと、孔は掃除機の如く辺りの空気を吸い込み始めた。
か弱い女の足ではその強風に抗うことは出来ずにその孔に吸い込まれる。
「きゃーーーーっ」
「ひぃーーーーっ…」
「っイリヤ」
二人を抱きとめることには成功したが、すでにその孔の吸引力は俺でも抗いづらく、その孔へと俺達は飲まれて消えた。
もう少し保てば孔も消えたのか、それとも中に俺達が入ったことで消えたのか。振り返ったそこにはすでに孔らしい物は存在しなかった。
咄嗟の事だったが、このような事態には悲しい事に慣れている。
周囲の風を操って球状に纏わせて置いた。これでしばらくはこの未知の空間でも生きていられるだろう。
「ここはどこ!?」
イリヤが問うが、さて何処だろうか。なんか見たことが有るような空間だね。…って言うかいつものだね。
「え?世界の境界?もしかして私根源への扉を開いちゃった?」
根源がどんな物か分からないが、多分違うね。
「そんなんじゃ無いと思うよ」
「じゃあ何なのよっ」
「時空間トンネル、ワームホールとかそんな感じの何かだろう。前にも潜った事が何度か有る」
「へ?時空間…それって…第五魔法?」
「時間旅行ね。もしわたし達が無事に生きて現実世界に出られたらそうかもしれないってだけの話だわ」
諦めの境地でイリヤが言う。
「そうね…この空間に出口が有ればの話よね…って、もっと慌てなさいよイリヤスフィール」
「慌てた所で事態は好転しないもの」
「そうかもしれないけれど…」
「ねぇ、チャンピオン。あなたならこの空間から抜け出す事は出来るかしら?以前通ったことがあるのよね?」
イリヤが問いかける。
「まぁ、何度かね」
「その時はどうしたのよ」
凛がようやく落ち着きを取り戻したのか幾分か冷静さを取り戻して聞いた。
「偶々見つけた亀裂に滑り込んだ」
「それで?」
「滑り込んだ先は正に異世界。人間が生きていける環境だった事は幸いしたな。宇宙空間とかだったら流石に死んでいる」
俺の返答を聞いて二人の表情が沈んだ。
「何とかできる?」
何をどうすれば良いのか。しかし…
「何とかせねば成るまい」
そう言うと俺は勇者の道具袋をまず取り出し、そこからリスキーダイスを取り出した。
「それは?」
「サイコロ?そんなものでこの状況がどうにかなる訳っ!?」
「リン、うるさい。チャンピオンが何の理由もなしにた
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