同盟議会緊急国防部会
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における人的資源損失を軽減でき、艦船更新に伴う産業への波及効果は軍が消費していた人的資源を雇用できるに足りる経済効果を生み出す事になります。
市民および議員の皆様、この拡充計画とその緊急予算案に是非賛同してもらいたい」
最後の締めとばかりにトリューニヒトがその本題を口にすると万雷の拍手が全てを物語っていた。
それを苦々しく見ていたヤンが毒舌を吐く。
「で、トリューニヒト氏の懐に幾許かのリベートが入ってくるか」
「あら、別にいいじゃないですか」
後ろにいた緑髪の政策秘書は目聡くヤンの毒舌を聞いていたらしい。
その口調が楽しそうなのがまた癪に障る。
「そのリベートで同盟軍の将兵が犠牲になると考えるとね」
「そのリベートごとき問題にならないだけのリターンを得られたのならば、政治は大成功ですよ。
ヤン中佐は聖人君子でいらっしゃるので?」
声のトーンに双方皮肉が入っているのはそれぞれ確認済み。
トリューニヒトが議場で注目を浴びている瞬間、誰にも聞こえない舌戦はこうして幕を開けた。
「まさか。
だから政治には近づかないようにしているのさ。
己の最も醜い場面を見せ付けられるからね」
「でしょうね。
政治は軍事と同じく結果が全てです。
この提案で、一個艦隊あたり20万人の人員が削減できます。
100万近い人間を戦場に出さない事は、一回の戦闘に大敗するのと同じだけの効果があるのは否定しませんわよね?」
「ああ。
それは納得しているさ。
ただ、私は気に入らないだけなんだ」
「貴方の作戦案をダシにされた事ですか?
それとも、貴方の知恵や努力なんてものが簡単にねじ伏せられてしまう、戦略や政治という大局がですか?」
「……」
「せっかくいらしたのですから、
ダシにしたお礼に一つだけ機密をお話しますわ」
それは人形師が彼女達に与えた、原作知識から来る監視の報告だった。
原作をここまでいじくった彼女達のある意味贖罪の為の情報提供は、ヤンに新たな知的興奮とその発案者の名前を強く刻んだのであった。
「イゼルローンに要塞が置かれてから、内乱で下落傾向の帝国国債が反転、急騰しています。
この急騰で財を成した人物の一人に、寵妃の弟であるラインハルト・フォン・ミューゼル男爵がいらっしゃるそうで。
あの難民問題で苦労していた彼は経済的に一息つけそうなんですが、どうもレンテンベルク要塞をイゼルローンに持っていったのが彼じゃないかと情報部では推測しています」
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