同盟議会緊急国防部会
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ったが。
議員の一人が発言を求める。
「参考人の説明については了解した。
では、帝国が内乱の傷を癒して我が国にその軍事力を行使した時の対策は用意しているのか?」
「現状、帝国軍の侵攻兵力は最大で30000隻と見積もっています。
これが、イゼルローン要塞を使用した場合、50000隻まで膨れ上がるだろうと、統合作戦本部では予測しています。
ですが、この兵力ならば現状の防衛計画で十分に対処可能です」
彼女の断言にカメラのフラッシュがたかれる。
もちろん、彼女がメインでトリューニヒトが背後に写るように。
さしあたって一面は『同盟軍 イゼルローン要塞に対して対応策あり!』あたりか。
ヤンがそんな事を考えていたら、とんとんとヤンの肩を叩く者が。
「ヤン中佐ですね。
よろしければ、下の席でご見学なさいますか?」
緑髪の政策秘書官が業務用スマイルでヤンの耳元に囁く。
この手の非公式の命令を断っても問題はないのだろうが、ヤンはため息を一つついた。
「特権を使って特等席で見るつもりはないよ」
「ネタ元に対して特等席を用意しなかったら、礼儀にかないませんわ」
しかし、どうして自分を見つけられたのかと考えて、議場にある監視カメラに気づく。
ここの警備システムにも彼女達はアクセスできるのだった。
無数にあるカメラから情報を解析し監視する超高度情報化社会。
それが自由惑星同盟の一側面である事もまた現実なのだった。
「私服だけど大丈夫かな?」
「制服を用意させますのでご安心を」
用意された制服を着たヤンが議場の参考人席の空いている椅子に席をおろす。
統合作戦本部から派遣された軍人達はちらりとヤンの姿を見たが、それ以後は視線を合わせようとはしない。
「既にお姉様が説明済みです」
ヤンの後ろに座った政策秘書が苦笑するのだが、ヤンはそれを見ようとはしない。
今、まさにヤンがこの場にいる理由を、そのお姉様が説明していたのである。
「帝国で内乱が発生した時、後方勤務本部からイゼルローン回廊制圧作戦計画が提案されました。
その作戦案はお手元に添付してありますが、この作戦の狙いは『帝国軍を一枚岩にさせて内戦の早期終結を狙う』事でした」
その爆弾発言に議場内がざわつく。
もちろん、その全貌は添付された作戦案に書いてあるのだが、彼女の説明はよどみなく続く。
「つまり、内乱でどっちが勝とうとも同盟には関係ない。
ただ、こっちに火の粉が飛んでくるのは困るから早く消火してくれというのがこの作戦案の狙いです。
この作戦案から分かるとおり、帝国への侵攻はかえって帝国に危機感を与えて、内乱で分裂した帝国指導者層が一体化する危険を孕
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