常盤台中学襲撃事件
Trick37_ア〜イ キャ〜ン フッラーーーーーイ!!
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だ。
だが、平民が少しでも遅れれば計算が外れる。
私を怒らせたくなければ全力で走れ』
「は、はい!」
ただ偉ぶっているわけではなく、求めている内容はかなりシビアだ。
位置外の指示に従い、時には路地裏に入ったり、階段の手すりを滑り降りたり、
壁昇り(ウォールライド)で3階建ての建物に上った後は屋上と屋上を渡ったり。
その全てが佐天の今の実力の、限界ぎりぎりだった。
唯一の救いは、佐天が『絶対にできない!!!』と感じるルートは走らなかったこと。
せいぜい『本当に大丈夫!?』と位置外の考えと、自分の実力でできるかどうかに
疑問を持った程度。
危なげながら位置外の“支配”で順調に走り進んでいく佐天だった。
『ここで3分20秒の休息を許す。待機していろ』
「はぁ、はぁ、はぁ、い、いいの? はぁ、はぁ、そんな暇は、ないと思うよ」
『高貴なる私からのありがたい報酬だ。大人しくしていろ』
「うん・・・はぁ、はぁ、はぁ」
位置外の指示で止まった場所は、とある学園都市の公園。
佐天は、公園をつきぬけてショートカットでもするのかと思ったが、位置外に言われて
今はベンチに座っている。サングラスもニット帽も外して一息ついている。
ふと、ベンチから高台からの見える景色で気が付いた。
この公園は、急で長い1本坂の途中にある公園だ。
あまりに長い道で、休憩が取れるように作られた公園。
ある程度の広さはあれど、遊ぶ場所はない。
ただ一番の問題は、この公園の入り口は1か所しかないことだ。
言い換えれば、峠の崖の一部を公園にした孤立した作られ方。
通り抜けを考えていた佐天だが、公園の入り口以外はまともに通り抜けできない。
できたとしても、今自分が見ている高台ぐらいしかない。
もちろん、そこから落ちれば30メートルはあるだろう下の道路に落下(・・)ができる。
子供が落ちないように、2メートルのフェンスで落下防止されているほどだ。
「あれ、もしかしてここから≪ I can Fly! ≫じゃないわよね?」
冗談の独り言のつもりで言ったのだが
『その通りだ』
携帯電話から肯定が返ってきた。
余談だが信乃と同じようにイヤホンマイクで通話している。
「ちょっと待って! 絶対無理だよ! 信乃さんや宗像さんならともかく
私まだ壁降り(ダウン)は3メートルが限界だよ!」
『降りるわけじゃない。向こう側に飛ぶんだ』
「え?」
言われて目を向けると、公園よりも少し低い高さに高層ビルがあった。
しかもご都合主義のごとく、高層ビルの隣はそれより少しビル。
さらに隣にはそれよりも少し低いビル。
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