一章 希望と絶望のセレモニーA
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「・・・はぁ、全くひどい目にあった・・・」
サラに見事な一撃を入れられてから十分程が経過して、ようやく京介は目を覚ました。
しかし気分は優れず、まだ少々気分の悪さが残るがそれは無理もない。
現役の剣道部員の見事な横一閃を生身の横腹に受けたのだ、肋骨の二、三本折れていてもおかしくない一件である。
京介は横腹に色濃く残る痛みを摩りながらゆっくりと身を起こす。
「京ちゃん大丈夫?氷でも持ってこようか?」
京介のすぐ傍らでは小春が心配そうに顔色を伺っていた。
少し前までは不機嫌に頬を膨らませていたとは思えない。
むしろその表情から察するにどうやら先程までの些細な喧嘩が水に流れたようで京介は軽く安堵した。
さっきのを引きずられるかよりは、この方がよっぽど都合がいい。
冷静に思い返すと小春は京介の自堕落さを注意していたのであって十中八九こちらに非があったのだ。
「まだズキズキするが大丈夫だよ・・・」
そんな小春の気遣いを遠慮した訳ではないが、気絶したこと自体がなんとなく恥ずかく思い京介はその申し出を断った。
それに氷水で冷やすにしても頭や手首とは違い、横腹を冷やすというのは少し身体に悪いのではないかという少々幼稚な考えも頭を回る。
「そんな人を心配する必要なんてありませんよ!小春さんに楯突いた当然の報いです!」
心配している小春の腕にベッタリと引っ付きつつ、サラは京介にガンガンと敵意の視線を飛ばしてきている。
その視線には小春との口論したことに対する怒りも含まれているのだろうが、今は「京介の分際で小春さんに心配してもらえるなんて」という嫉妬の色の方が強いようだ。
「こらサラさん、まず京ちゃんに謝らないとダメでしょう?」
まるで保育園の先生が幼児に教えるかのような物腰の柔らかい言い方で小春はサラを促す。
するとサラもそれに応えるように実に聞き分けのいい無垢な子供みたいな素直な頷きを見せると、京介の方を見て口を開く。
「ゴメンナサイ」
『わぁ〜素晴らしく棒読み〜』
これほどまでに感情が一切こもっていない謝罪というのは逆に清々しい。
サラにとっては小春に言われたから言っただけであって、京介がどう思おうか知ったこっちゃないのである。
「そういやミナトはどこ行ったんだ?姿が見えねぇけど・・・」
京介はふと彼の存在を思い出したかのように周りをキョロキョロ見渡し小春に聞く。京介が目覚めたら一番に飛びついてきそうなやつだが、周囲にそれらしい気配もなく、どうやら今はいないようだ。
「ミナト君には職員室に行ってもらってるわ。本当は私が行くつもりだったんだ
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