初めての都市
シキあるところに汚染獣あり
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優勢だった。
実は猫舌であるシキは、お茶をチビチビ飲みながら悩む。
アイナは自室で、趣味の縫い物を楽しんでいるのでシキの思考を邪魔するものはいなかった。それが微妙に寂しいと感じているシキだったが、気のせいだと流す。
こんなに一人で静かに過ごすなんて、シキは初めてだった。
寂しいと感じるが、孤児たち……いや、兄弟たちなら元気だと信じている。死んだとき用に資金は貯めているし、それはレイフォンが使えるようにしてある。遺言状もデルクに渡しているのでバッチリだ。
「……失って気づく、か」
何かで見たことがあるフレーズを思い出し、シキは苦笑した。
月並みのセリフだが、シキはようやく理解した。
「さて、落ち込むより訓練しよう。ナッキ用の訓練も組まないと」
シキはナルキを弟子に取ることにした。
まぁ、弟子と言っても友人として、ナルキを強くしたいという思いからなので本格的にはしないつもりだ。……あくまでも、シキの基準なので相当厳しいのだが。
機会があれば、サイハーデンの剄技を教えていこうと思っている。全ての技は教えてもらっているし、授けてもいいとデルクから言われているので軽い移動系は教えようかと思っていた。
さすがに、シキの全てを教えることは不可能であるし、まともに教えられるのがそれくらいしかないからだ。
「さて、そろそろ行こうかね」
空になったカップを見て、シキはそう呟いた。
今日は交叉騎士団と都市外模擬戦闘を予定しているので、早めに行かないと行けないのだった。
カップを台所に置こうとした瞬間、地面が揺れた。
「なっ!?」
激しい揺れで、シキは片膝をつきながら鋼糸を復元して物が倒れないように鋼糸で固定する。
周りの建物から嫌な音が聞こえる。二階から、アイナの悲鳴が聞こえたが、鋼糸を飛ばして安全を確保しているのでシキは、その場から動かない。
昼時でなかったのが幸いした。最悪、コンロから飛び火して火災が発生する可能性もある。グレンダンでも、たまにだがこういった都市が揺れる、都震と呼ばれる現象が起きた。
原因は、レギオスの脚が地盤のゆるい土地に入ったり、足場を踏み外したりする場合だ。忘れがちだが、シキたちが住んでいるレギオスは常に動き続けている。
しかし、そういう場合でない都震もある。
「……収まったか」
シキは鋼糸で家の状態を確認する。念威操者のマネごとだが、ある程度ならシキもそう言ったこともできる。やりすぎると頭痛がするという欠点もあるのだが。
安全を確認したシキは、鋼糸を復元したまま二階に駆け上がる。
ちょうどタイミングが合ったのだろう。部屋に出たアイナとシキは遭遇した。
「し、シキ、大丈夫だった!?」
アイナは慌ててシキに駆け寄る。
「慣れてるからな。家は安全だ、まぁ、物が
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