初めての都市
シキあるところに汚染獣あり
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うか? でももう一回」
完全に、大切な妹を心配するシスコン兄である。
他人には厳しいが、ある一定のラインを超えると過保護になるというのがシキだった。ただし、レイフォンは除くというか、心配しても無駄というある種の信頼感を持っている。
メイシェンも、心配されるのは嫌いではないがシキのは度が過ぎると思っていた。
「ほらほら、そろそろ遅刻しちゃうわよ」
こうやって、アイナが苦笑しながら言わないと遅刻ギリギリまで粘ってしまう。
シキは、まだそわそわしながら玄関からメイシェンと共に出た。
「あっ、メイっち、シッキーおはよ!」
「おはよう、二人とも」
出てすぐのところに、カバンを持ちながら立っているナルキとミィフィの姿が見えた。
シキは軽く手を挙げて返事をする。
「じゃあ、行ってくるねシッキー」
「あっ、そうだ。ナッキにミィ、今日、アイナさんがご飯食べに来なさいだってさ」
「やった! シッキーも作るの?」
「そうか、楽しみだ」
談笑を終え、三人は学校に歩き出していく。
シキは見えなくなるまで見送ると、皿洗いのために家へと戻った。
随分と減った子供たちを見て、汚染獣は吐息を漏らした。
自らの身も差し出して、飢餓を乗り越えようとしたのだが一足遅く共食いをし始めてしまったのだ。
残ったのは二千ほどの幼生体、しかし今すぐにでも共食いを始めようとする気配があった。
その時だ、洞窟内に小さく足音が響いた。
その音に、母体である汚染獣は聞き覚えがあった。餌場の音だ。
……ン……シン……ズシン……ズシン……ズシン。
どんどん近づいてくる音に、母体は子供たちに語りかけた。
――――さぁ、起きなさい。
幼生体(子供達)がゆっくりと起き上がる。
――――身体を動かしなさい。
その言葉に従って、幼生体たちは身体を動かし始める。
動きづらい身体を苛立たせていると、胴体部からクシャクシャになった翅が出てきた。
次の瞬間、洞窟の天井部分が崩落し、光が差し込んできた。
――――さぁ、喰らいなさい。
母体の透き通った鳴き声が響き渡り、幼生体たちは崩れた天井から飛び立った。
メイシェンたちを見送ったシキは、皿洗いを手早く終わらせ、日のあたりがいいので、ベランダで布団を干した。
そして、リビングに戻りのんべんだらりとお茶を飲みながら、今日の夕食で作る料理の献立を考えていた。
「あー、スープ系もいいが肉系も捨てがたいよなぁ」
野菜スープか、生姜焼きで悩んでいるのだが、メイシェンたちに好評を得られるのは間違いなく野菜スープだと確信しているのだが、肉を食べたいという願望がシキにはあるのだ。
友情か、それとも欲望か。
脳内でまた戦争が起こっているのだが、今回も主人格シキが
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