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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
初めての都市
シキあるところに汚染獣あり
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 あのメイシェンたちの見学から三週間が経った。
 シキは大分、トリンデン家に馴染み。アイナと共にご飯を作るのが日課になっていた。
「あっ、シッキー。もう少し少なくていいよ」
「いや、ナッキの奴も来るんだからこのぐらいは余裕だろ」
 さらに学校から帰ってきたメイシェンと共にお菓子作りもするようになった。
 孤児院の癖が直らず、多めに作ってしまうシキに呆れるメイシェンという図が出来ていた。
 毎日、顔を合わせるので引っ込み思案なメイシェンでも慣れるのはそう時間がかからなかった。
「も、もういいだろ……」
「いいえ、シキ? ちゃんと勉強しないと武芸者でも苦労するわよ? はい、書き取りしましょうね」
「もうヤダァあああああああっ!!」
 学校に通わないシキを見かねたアイナは、週に二度勉強時間を作った。
武芸ばかりやってきたシキにとっては地獄のような時間だった。孤児院での、姉のスパルタを思い出して泣きそうになったのは秘密である。
アイナの教え方が上手かったのか、それともシキに才能があったのかわからないがスポンジのように覚えるシキに感動したアイナが、学校に通うのをメイガスに相談したこともあった。
エルミとドミニオには週三のペーズで会いに行く。
「あぁ、まだ行かないぞ。それとエルミならどこかへ行った」
 うっとしそうに手を振るドミニオに、衝剄を放とうかと思ったシキだったがギリギリで踏みとどまる。どうやら相性は最悪らしい。
 錬金鋼の調子はいいので、シキはエルミを必要とは思っていなかった。
 事件といえば、シキがわりと力を込めた剄で焔切りをしてしまった際、壁が焦げて地面が深く抉られるという事件を起こした。
 幸い、誰もいない時だったので怪我人はいなかったが、音と衝撃でやってきたバンクルトたちが口を開けながら、呆然とした姿は中々滑稽だった。(後日、給料から補修代が抜かれたのは自業自得である)
 それと、ついにシキは手紙をグレンダンに送った。
 どう返事が返ってくるかはわからないが、どんな結果でもシキはグレンダンに帰るつもりはなかった。
 エルミの思惑はわからないが、この旅は自分にとって有意義なものになるはずだと確信していた。まぁ、同時に嫌な予感もしていたが。
「まっ、どうにかなるさ」
 そんな楽天的な思考を口にしながら、シキはベッドを転がる。
 だが、汚染獣の影は徐々にヨルテムに近づいていた。


「メイ、忘れ物はないか? ハンカチは? 宿題は? 弁当は?」
「シッキー、そんなにしなくても忘れてないよ」
 シキは、心配そうに忘れ物がないよう確認する。実はこれが三度目である。
 メイシェンはぎこちなく笑いながら、シキの心配性に困っていた。
「忘れ物があったら、シッキーが跳んでくるから、絶対に忘れないよ?」
「そ、そ
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