第三十八話 狐道その二
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「あんた達が今晩行くお稲荷さんね」
「あの神様がおられるから」
「ああ、お稲荷さんがなの」
「日本で一番偉い狐さんなのね」
「そうだよ、お稲荷さんは正一位だしね」
猫又はお稲荷さんの官位についても話す、つまり太政大臣と同じだけの位だというのだ。
「凄く偉いよ」
「お稲荷さんってそんなに偉かったの」
「何か何処にでもお社があるって感じだけれど」
「身近に何処にでもお社があるってことは」
今度は送り犬が話す、狐と犬は同じイヌ科なので親戚みたいなものだ、それでお稲荷さんについても詳しいのである。
「それだけね」
「力がある」
「そういうことなのね」
「そうだよ、あと狸さん達は四国にね」
彼等はそこだった、狸といえば四国である。
「団三郎狸っていう凄い親分がいたんだよね」
「で、その狸さんがなの」
「日本の狸さんで一番偉いの」
「そうなんだ、団三郎さん今でも四国にいるけれど」
その四国にだというのだ。
「今も日本の狸一族の棟梁さんだよ」
「狐さんはお稲荷さんでなの」
「それで狸さんは団三郎さんなのね」
「そうだよ、それぞれ一番偉い人がいてね」
その存在を頂点としてだというのだ。
「社会があるんだよ、狐さんも狸さんもね」
「ううん、何か本当に人間の世界みたいね」
「そうよね」
二人はここまで聞いてまた話した。
「何ていうか」
「それだと」
「妖怪全体だと顔役もいるぜ」
猫又はこの存在も話に出した、今度は江戸時代の町か村の様な話になった。
「ぬらりひょんさんとかな、あとこの学園だと博士な」
「いや、博士人間でしょ」
「一応は」
「まあな。おいら達と親しいからな」
それでだとだ、猫又はその二本の尻尾を動かしながらそのうえで二人に話す。やはり彼も前足を手の様にして動かしつつ話している。
「あの人はさ」
「それでなの」
「博士も」
「そうだよ」
この学園で妖怪達の顔役を務めているというのだ。
「幽霊の社会でもさ」
「何か博士って本当に妖怪じゃない?」
「何かそんな気がしてきたわね」
二人は今まで以上にそう思えた、猫又と送り犬の話を聞いて。
「顔役まで務めてるっていうと」
「やっぱりね」
「そもそも仙術とか錬金術もマスターしておられるっていうし」
「不老不死かも知れないし」
仙術や錬金術は不老不死を追い求めるものだ、錬金術は黄金を求めるものだがそちらへの探究心も深いのだ。
「やっぱりね」
「本当に仙人でもおかしくないわね」
「そこから妖怪化していってるとかね」
「あるわよね」
「まあ人間もあそこまで生きると色々あるよ」
今度はこう言う送り犬だった。
「博士なんて日清戦争知ってるから」
「その頃から結構なお歳よね」
「幕末生まれっていう
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