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ファイアーエムブレム〜ユグドラル動乱時代に転生〜【外伝】
とある騎士の昔語り---その5---
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人を救おうとしたが、最初に落馬した男の喉元にヴォルツが剣を突きつけると腰が引けてしまったようだ。




 騎士らしき者三名を縛り上げ、歩兵達には武装解除させているとまた新たに一団がやってきた。
 こちらの様子を窺うと隊列の中ほどから見知った顔の者が進み出て来た。
 代官である。
 脇を新たな一団の者に固められた彼はヴォルツに向かい

「す、すみやかにそのお方の身柄を、か、解放したまえ……ヴォルツ卿」

 思いもかけない登場と要求に面くらいながらも " はい、そうですか " とは言える訳もなく

「閣下ァ、こいつらぁ陛下の御領で畏れ多くも戦支度をしとったんですぜ、何か事情があるにせよ取り調べねばなりますまい。 それに、そのぅ、……新しいお仲間はなんですかね?」
「き、キミィ、言葉を慎みたまえ。 君が持ち場を放棄した間に役場を襲った山賊共を誅滅した功労者なのだぞ! かっ、彼らは!」

 予想だにしない代官の返事に困惑しながらもうさん臭さを感じざるをえない彼は

「閣下ァ、武器突きつけられて無理やり言う事聞かされてるってんならご同情申し上げますよ。 しかし、申し訳ないが陛下への忠義、お互い見せましょうや」
「なっ、なにを言っておるか、そんなことなどあるものか」

 代官は脇を固めた者を手で制すとヴォルツのもとへと歩み寄ってきた。
 きな臭さをぷんぷんに感じながらも行動の自由があることを身を以て示した代官に従わざるをえず、要求を飲むより他なかった。





 ……ヴォルツが役場を離れて翌日、にわかに山賊とおぼしき一団の襲撃があった。
 その折 " 偶然 " 改めて訪れていたブリエンヌ伯爵の使節が族を追い払い、駐在の騎士が不在という苦境を見逃せないと " 紳士的な申し出 " によりブリエンヌ伯爵は配下の者を遣わしてほんの昨日、山賊の根城を見つけ出し討ち果たしたという。
 治安のために駐留してもよいという申し出も受け入れたとのことだ。
 ……役場に戻るまでの間に代官がヴォルツに語った内容を要約すると以上であった。

「……あの毛皮を見れば、たしかに巨大な熊だったようだがね。 君が不在だったことでいったいこちらはどれだけ苦境に立ったことか!」
「閣下とて許可はくださいましたでしょう! アレに村人が八人も殺られてるんですよ!」
「だから! 君の首がまだ胴と繋がっていることを許しておるのだよ!」
「だいたい、山賊が攻めて来たってんなら知らせを寄越してくださいよ。 こっちだって人手が足りんのに二日置きには人を遣ってたんですよ! だーれも返事には来ませんでしたがね!」

 腕組みをして考えはじめた代官は

「うむ。 山賊どもによって使者が捕えられ殺害されたのであろう。 こちらからももちろん送った
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