第三十話 ロゴスを討て
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連合の兵器によって街を焼いていく機体が見える。コーディネーターだけでなく、ナチュラルを殺していく様子を見て顔を顰める。
そんな中、子を庇う親がそのまま子供ごとビーム砲に薙ぎ払われていくのを見る。
「うっ―――!?」
洗面所に駆け込み、思わず吐き気を催す。過去の記憶が思い出される。幼い頃にビルで爆発が起こり俺を庇った母の姿。先程の映像を見てその姿が重なった。
「ハァ、ハァッ……」
席にもたれかかりながらも、彼の演説は続いていく。
『――――――軍需産業複合体、死の商人《ロゴス》!彼等こそが平和を望む私達総ての真の敵です!!果てしない死の連鎖も、ユーラシアの惨劇も、コーディネーターを忌み嫌うあの《ブルーコスモス》でさえ―――総て彼等の手によって作り出されてきたのです!!』
終わりだな……ファントムペインも……ロゴスが母体であるあの組織は、ロゴスが世界の敵となった今、ロゴスの壊滅と共に間違いなく失われる。無論、ロゴスが勝利すれば話は別だろうが、だとしてもファントムペインはていのいい盾として扱われ、おそらく壊滅するだろう。
躊躇いなくそんなことを思えたのは俺にとって最早執着するべきことがないからだろうか?ミューディーもシャムスももう居ないのだ。今更あんな組織に執着など沸くはずもないか……。
『だからこそ、私達の―――いや、世界の真の敵…《ロゴス》こそを滅ぼす為に戦うことを、私はここに宣言します!!』
どうにでもなれ―――そんな思いがよぎって仕方がない。ふと机に置かれたタブレット端末に目がいく。新しい世界を探すのも良いかもしれない。どうせ元居た場所は完全に世界の敵となったのだ。自由を得たとしても構わないだろうと思ってしまう。
「そうだな―――星を目指すのも悪くないのかもしれない……」
戦うことしか自分には出来ないのかもしれない。だけど、始めはそれでも良い。少しずつでも前を目指して上を目指して、いつか星に辿り着く。それが―――夢なのだから。
◇
「で、だ。一番最初にお前に聞こうと思ったわけだが、如何なんだ、実際?」
「何がだい?現実的に可能かどうかについてかな?それともロゴスが真の敵なのか疑問なのかい?」
クラウは未だに整備を続けながらマーレの質問に対して質問で返す。
「どれでもいい。取りあえずお前がどう思っているのかが聞きたい」
「別に、どうも思っていないよ。ロゴスは敵、それで良いと思うならそう思うべきだろうし、違うと思うなら自分にとっての真実を探すべきだよ」
クラウにとって今回のロゴスの話は軽く見ている。いや、正直に言えば興味がないのだ。ロゴスを討ちたいなら討てばいい。経済が破綻しようがアレが多くの人類にとって害悪であることは事実だ。最大多数の
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