第三十話 ロゴスを討て
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トに誘ったりとアプローチをしているがシンはその辺鈍いし、そんな余裕もなかった時期だから全然気付かなかったりしてる。結局、それが延長線上に続いていって未だにシンが彼女の好意に気付いていないだけだ。しかも、ステラという強力なライバルが出来ただろうし。とはいえ、そのことはルナマリア本人は全く知らないだろうが。
『あ〜、艦内の全乗員に告ぐ。現在、議長から全世界へ向けての緊急メッセージが放送されている。各員、可能な限り聞くように』
ルナマリアのマシンガントークに辟易していると、艦内放送でアーサーがそんなことを言い出す。議長からの緊急メッセージ、ということでMSの整備を一度取り止めて殆どの人が緊急メッセージを見れる場所まで移動し始める。
「あれ?クラウさんは行かないんですか?」
クラウはそんなこと気にせず整備を進めているのを見て、ルナマリアが尋ねてくる。
「ああ、別に構わないよ。その内容は直接教えてもらってるから」
以前ディオキア基地で話したときに聞かせてもらった話の一つに今回の緊急メッセージの件を聞いている。どうせロゴスのことだろう。死の商人こそが悪の元凶であるという議長の発言によってザフトの正当性を高め、組織を一致団結させる。それによって議長の権力は高まるし、結果的に信頼も上がる。何より絶対的正義と言うものは多くの人間が信じられないものだが、逆に絶対的悪と言うものに関しては信じやすいものなのだ。そんなものありはしないとクラウは思っているのだが。
人が一人もいなくなった格納庫で一人静かに彼はMSの整備を行う。口元には笑みが浮かんでおり、これから始まるであろう壮大な劇に期待しているのだろう。ようやく動き出す。世界の運命がここから狂いだすのだ。誰が勝とうと、世界がどうなろうとも気にしない。ただ、世界は在るがままに動いてく。
◇
その放送を見て、俺―――スウェンは奴が言っていたことが事実だということを理解した。手錠をされていようとも部屋を与えられている俺は部屋の中ではほぼ自由だ。この手錠自体も誰かが部屋に入るときにしか機能しないらしい。普段は外れており、部屋のロックが解除されるときに自動で磁力か何かで取り付けられるようだ。
『私はプラント最高評議会議長。ギルバート・デュランダルです。私は今こそ皆さんに知って頂きたい。こうして未だ戦火が収まらぬ、本当の理由を!』
部屋に取り付けられていた画面を見ている限り、映されている彼は本物だろう。自分の敵の大元だったモノ。しかし今となっては彼を殺す機会があったとしてもする事はないだろう。
『この映像は過日…ユーラシア西部の地域に連合の巨大兵器が侵攻したときの様子です。この兵器は連合から脱退を宣言した三都市に対して何の勧告もなく攻撃を始め――――――』
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