1-2話
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い。
今すぐに何とかしないと、この旅客機は地面に叩きつけられて確実に四散する。
海と違って、陸地だとその危険度に大きな開きがあって、生存率はほぼ絶望的になる。
多くの命が失う。
「やるしかない…!」
決断して、アタシは非常口から外へと躍り出た。
暴風の中に投げ出されたアタシの体は当然、紙のように吹き飛ばされる。
だが、そんな暴風の中でも、アタシは泳ぐようにその姿勢を整えると…懐から刀身のない柄を取り出した。
逆手にそれを持って、アタシは念じる。
するとその柄は、虚空を塗りつぶすように刃が具現化した。
それは神秘によって編まれていて、アタシの意思によってその姿を現す武装。
後ろに旅客機の大きな翼が広げられているのを確認する。
アタシは姿勢を制御し、その翼の上を掠めるように集中する。
自身と翼が交差する。
その刹那に、アタシは翼の縁に鉤爪の如く刃を突き立てた。
「っ…!」
わずか一秒足らずの出来事だった。
この行動から息をつく間もなく、次の圧力がアタシに襲いかかる。
流れに逆らうように翼に捕まるアタシの体に、圧倒的な圧力で風が叩きつけてきた。
今すぐでにも吹き飛ばされようとしている体に、腕の筋が容赦なく引っ張られる。
顔の造形が変形してしまいそうな風圧に、息をする事すらつらい。
長くは持たない。
旅客機が落ちる方が早いか、アタシが耐えれなくなる方が早いか、どちらも時間はない。
アタシはすぐに意識を、世界へと更に深く浸透させた。
意識の糸は、溶け込むだけなく、もっと奥にある世界の明確な領域…すなわち惑星という個へと接続する。
一つの生命体と考えるガイア理論のように、惑星は意思を持つ。
深く、深く…万能感で満ちるほどにアタシと惑星を同調させれば、その果てにあるのは等しく世界と同じ力を得る。
アタシは、それと繋ぐ能力を持っている。
それは大きな可能性を秘める力。
世界が司るのは神羅万象。
表すのは現象という名の意思。
アタシの意思は、世界の意思。
アタシが望めば、世界もそれと同じ意思になる。
空想のようなありえない現象を、世界はそれを具現化させる。
世界がそれを可能にする。
アタシは、それを可能にさせる。
それは…この旅客機に乗る数百人の命を無駄にさせない事も、不可能じゃない。
「―――、――、―」
思い浮かべる。
この万能感が導くままに、旅客機を墜落から防ぐためのイメージを造り上げる。
イメージが、アタシの意思が世界に伝わる。
世界はノータイムでそれを形にする。
―――それが、アタシの力だ。
思い浮かべるのは
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