暁 〜小説投稿サイト〜
探し求めてエデンの檻
1-2話
[9/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
い。

 今すぐに何とかしないと、この旅客機は地面に叩きつけられて確実に四散する。
 海と違って、陸地だとその危険度に大きな開きがあって、生存率はほぼ絶望的になる。
 多くの命が失う。

「やるしかない…!」

 決断して、アタシは非常口から外へと躍り出た。
 暴風の中に投げ出されたアタシの体は当然、紙のように吹き飛ばされる。
 だが、そんな暴風の中でも、アタシは泳ぐようにその姿勢を整えると…懐から刀身のない柄を取り出した。

 逆手にそれを持って、アタシは念じる。
 するとその柄は、虚空を塗りつぶすように刃が具現化した。
 それは神秘によって編まれていて、アタシの意思によってその姿を現す武装。

 後ろに旅客機の大きな翼が広げられているのを確認する。
 アタシは姿勢を制御し、その翼の上を掠めるように集中する。

 自身と翼が交差する。
 その刹那に、アタシは翼の縁に鉤爪の如く刃を突き立てた。

「っ…!」

 わずか一秒足らずの出来事だった。
 この行動から息をつく間もなく、次の圧力がアタシに襲いかかる。

 流れに逆らうように翼に捕まるアタシの体に、圧倒的な圧力で風が叩きつけてきた。
 今すぐでにも吹き飛ばされようとしている体に、腕の筋が容赦なく引っ張られる。
 顔の造形が変形してしまいそうな風圧に、息をする事すらつらい。

 長くは持たない。
 旅客機が落ちる方が早いか、アタシが耐えれなくなる方が早いか、どちらも時間はない。

 アタシはすぐに意識を、世界へと更に深く浸透させた。

 意識の糸は、溶け込むだけなく、もっと奥にある世界の明確な領域…すなわち惑星という個へと接続する。
 一つの生命体と考えるガイア理論のように、惑星は意思を持つ。
 深く、深く…万能感で満ちるほどにアタシと惑星を同調させれば、その果てにあるのは等しく世界と同じ力を得る。

 アタシは、それと繋ぐ能力を持っている。
 それは大きな可能性を秘める力。
 世界が司るのは神羅万象。
 表すのは現象という名の意思。

 アタシの意思は、世界の意思。
 アタシが望めば、世界もそれと同じ意思になる。
 空想のようなありえない現象を、世界はそれを具現化させる。

 世界がそれを可能にする。
 アタシは、それを可能にさせる。

 それは…この旅客機に乗る数百人の命を無駄にさせない事も、不可能じゃない。

「―――、――、―」

 思い浮かべる。


 この万能感が導くままに、旅客機を墜落から防ぐためのイメージを造り上げる。
 イメージが、アタシの意思が世界に伝わる。
 世界はノータイムでそれを形にする。


 ―――それが、アタシの力だ。


 思い浮かべるのは
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ