1-2話
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頭を隠すために帽子を被っている上に、顔を伏せているのに意図的に向けてくる意識に体を起こす。
咄嗟に頬杖を止めた手をジャケットの裏側に忍ばせながら目線を上げた。
するとそこには、制服を身に包んだ女性がカートを押しながら佇んでいた。
「あ、あの…コーヒーはいかがですか?」
視線を上げたアタシに、辿たどしい口調でその人は勧めてくる。
そんな気はなかったのだが、返した意識が鋭かったため、スチュワーデス――今ではCAと呼ぶか――は睨まれたと感じたようだ。
温和そうだが気弱そうな面をしていて、女性の象徴が少々…いや、かなりボリュームがある双丘がやたらと目を引くが、新米なのか作業じみたサービスといったものを感じない初々しさがある。
そんな女性に、反射的とはいえ可哀想なことをした。
「…」
「あ、えと……How about some coffee?」
沈黙していたら、CAに外人と思われたようだ。
母譲りの蒼い目と黒かったはずの髪もまた蒼く蝕まり切っているため、その容姿は日本人離れしている。
それなりに勉強したとも思われるネイティブさがない英語に対して、アタシは普通に日本語で返した。
「お願いするわ、ミルクでぬるめてね」
「え、ぁ…は、はい!」
外国人だと思ったら口に出た日本語に混乱して、CAは咄嗟に強い返事を返す。
そこからの動作は何とも落ち着かないものだった。
カートからコップを出すのに両手で取り出すなどや、湯気を立たせるコーヒーとミルクを注ぐ手が揺れていたりなど、簡単な作業のはずなのに見ていて危なっかしい。
いや、本当に危ない。 冷まして、と言ったはずなのにミルクの量が足りないから舌を腫らすには十分なほど熱量が残っていると湯気が自己主張している。
しかもそれをまた両手に持って、コップを凝視しながら持ち上げた。
本人は注意深くしているのだろう。
しかし彼女は、一点以外の周りが見えてない。
逆に危うい。
そのままだと、どこかに体をぶつけてしまう。
「あ、あぁ!?」
そら見ろ。
CAはカートに体をぶつけて体勢を崩した。
手を伸ばせば済むのに、コップを持ち上げたままの状態で肘を折っていた腕は硬直したように固まっていた。
緊張でガチガチになっていて、まるで熱湯を持つかのような慎重な姿勢だ。
固まってる体で無理やり腰を捻らせて、視界の外にあったカートに気を配らなかった。
結果、衝撃でコップは容易くも両手から離れた。
―――コップと黒い液体を目で追う。
「(…“同調”して動きを読むまでもない)」
瞬時に手を伸ばす。
こちらに向かって飛来してくるコッ
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