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探し求めてエデンの檻
1-2話
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せる。

 その時だった―――この行為が裏目に出たのは。

「……!?」

 人が、宙に放り出されていた。

 アタシが開けた非常口から人が飛び出したのだ。
 衝突にも近い衝撃は、機内を大きく揺らしただろう。
 その中で、その衝撃に振り回されずにいた者がどれだけいただろうか?

 そんな、わずかな焦りで出た軽挙によってこぼれ落ちた数は…三人!
 何もない中空に投げ出された三つの人影に、アタシは思考を走らせる。

「(シィット! なんて…迂闊(うかつ)!!)」

 戸惑う間はなかった。
 既に限界点も近く、これ以上ここには居られなかった。

 手に握る刀剣の刀身を消し去る。
 支えを失ったアタシの体は吹き荒れる風に連れ去られた。

 瞬く間に、旅客機が離れていく。
 視界を巡らせ、放り出された三人を探した。

「(いた…!)」

 落ちていくのに暴れる様子もなければ、叫ぶといった素振りを見せない辺り、どうやら三人とも気を失っているようだった。
 三人の位置を確認し、アタシは再び…大気の壁を造り上げる。

「―――、――、―」

 今度は受け皿ではなく、この身動きの取れない空間に置ける足場をイメージする。
 人が足を付けるには十分なほどの質量を伴うソレはアタシにしか知覚できない。
 夜闇の虚空の中、アタシはそれを蹴りつけた。

 一歩で軌道を変える。
 二歩で最寄りの人を捕まえた。
 三歩で次の人に寄り付ける。
 四歩、五歩と落下速度を殺してその人を受け止めた。
 六歩で今度は逆に加速した。

 二人を抱えてのアクロバティック。
 もはや三百メートルもあるかどうかという高さまで来ている危険なノーロープバンジーで、地面に向かって加速する。
 足りない、と思ったアタシは更に追加で足場を作り二度目の加速を付ける。

 そして見つける。
 水の中に沈んでいくような体勢でグッタリと脱力させる女性の姿。
 アタシはそれに追いつき手繰り寄せる。

 三人も抱き抱えるのはかなり厳しいが、それでも取りこぼさないようしっかり抱き寄せる。
 あとは下に落ちるだけだった。

 だがその前に……。

「……」

 既に遠くなっていった旅客機に視線を向ける。 

 視線の先には鉄の(とり)が堕ちていくのが見えた。
 アタシ達を置き去りにしていったソレは闇に溶けてしまいそうになりながら、その翼もろとも大地へと引き摺りおろされようとしていた。

 下は地面。 視ればそこには…多くの緑と、歪な土塊(つちくれ)の大地。
 速度は出来る限りは削いだ…が、叩きつけられば五体満足でいられるかどうかはわからない。

 悔やむわけじゃないが、やり切れたと思えない自分がい
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