Prologue 秋の公園で
[3/5]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
じ。
つまり同年齢のはずなのに、外見も中身も小学生どころか幼稚園児に近い。
だが高校生の彩斗はそんな幼稚園児に勝つことはできなかった。
「...分かった。でも泣いても、苦しくなっても、僕は知らないよ」
「分かった」
彩斗は一呼吸置く。
そして再びサヤナの隣のブランコに腰掛けた。
「僕はね、君がおじいちゃんから聞いた通り、一度死んだよ。はっきりと覚えてないけど、苦しくて寒くてもう二度と味わいたくない感じ。そして父さん...パパが僕の脳から人格と記憶をコピーしてロックマンエグゼとして蘇生させた」
「うんうん」
サヤナもここまでは知っていた。
だが此処から先が問題だ。
ニホンでは基本的に死んだら火葬する風習がある。
そして彩斗も火葬され、光家の墓に入っているはずだった。
「でもここでちょっとした出来事が起こった」
「何?」
「僕の亡骸が他の人間とすり替えられたのさ」
「!?」
衝撃の告白だった。
彩斗自身、これは聞いた話だ。
実際、今の話でいうところの「亡骸」である彩斗がそれを体験した記憶があるわけがない。
「すり替えたのはディーラーっていう組織さ。前にスバルが倒したメテオGを地球にぶつけようとした犯罪集団。表向きは恵まれない子供たちを救済する孤児院の創設、援助を行う慈善事業財団。彼らはこの時、ある実験をしていた」
「.....」
「大昔に滅びたムー大陸の因子と技術で現代の人間にムーの力が使えるようにするという実験だよ」
彩斗はため息まじりだった。
そして自分の手のひらを見た。
「見事に僕はその実験台として蘇生し、こんなふうにムーの人間が持っていた力が使えるようになったのさ」
彩斗の手のひらで一瞬だけオーロラが発生したように見えた。
すると次の瞬間、彩斗の手のひらにはバラの花が乗っていた。
『マテリアライズ』。
電波を物質化する技術だ。
現代ではハンターVGなどの電波端末で使うことが出来るが、それを何のデバイスも使うこと無く、生身の肉体で行うことが出来る。
「そして僕は記憶を消され...別人としての生きていくこととなった。ディーラーの孤児で名前も分からず、ただ実験を受け、食事を与えられ、まるまると太らされる家畜みたいに...」
「...ゴメン、軽い気持ちで聞いた私が馬鹿だった」
サヤナは心から謝った。
聞く自分はともかく、安らかな眠りから無理やり起こされ、辛い生活を強いられていたのだ。
そしてそれを知らずに生きてきた。
それほど辛いことはない。
だがサヤナは次の瞬間、とんでもないことを口にした。
「じゃあ次はロックマンになった時の話を...」
自分でも馬鹿だと思った。
今の話でかなりの罪悪感が心にあったはずなのにまるで忘れてし
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ