第三十七話 夏祭りその九
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「実際のところね」
「キリスト教ってワインよね」
琴乃が景子に問う、焼きそばを食べつつ。
「それも赤よね」
「主の血よ」
そしてパンは主の身体だ、この二つにはカニバリズムが隠されているのではないかという説もあるらしい。
「だから式にもよく使うけれど」
「それでよね」
「赤ワインとはね」
日本の夏祭りの出店で売られている様なものと合うかというとだった。
「全然合わないから困ってるわ」
「それじゃあそういう時は」
「ビールかね」
若しくはだった。
「日本酒なの」
「そっちになるのね」
「おおっぴらに飲まれてるけれどね」
神父だが日本酒も飲んでいるというのだ。
「そうされてるわ」
「神父様も組み合わせには勝てないのね」
酒と食べ物のそれにはというのだ。
「やっぱり」
「焼きそばに白ワインはまだあるんじゃないかしら」
里香はこの組み合わせについてはだと言った。
「それは」
「ううん、そうだけれどね」
「赤だとね」
「そう、赤よ」
それが駄目だというのだ。
「赤ワインな、そっちがね」
「赤ワインだとこうしたのはね」
里香は目の前に並々と置かれている出店のものを見回して言った、そうしたものは確かに赤ワインではだった。
「向いてないわね」
「そうでしょ、それで教会のミサとかはね」
「赤ワインよね」
「そう、赤だから」
それでだというのだ。
「向いていないのよね」
「赤ワインって苦いよな」
それはとてもだというのだ、美優が言う。
「渋みがあってな」
「お肉には合うのよ」
景子は赤ワインに合うものを言った。
「パスタにもピザにも」
「けれどだよな」
「そう、和食系には合わないのよ」
そちらにはだというのだ。
「こうしたおソース使うものにしてもね」
「だよなあ、おソース使う日本の料理な」
明治維新以降に生まれた料理だ、明治維新によって出て来た料理にはソースを使った和食もあるのだ。
「こういうのには赤ワインは合わないよな」
「とてもね」
「それでなんだな」
「そう、神父様もね」
景子の知り合いでもある彼のだというのだ。
「あの人もこうしたのを食べる時は」
「日本酒なんだな」
「ビールの場合もあるけれど」
だがそれでもだというのだ。
「神の血は飲まれないの」
「白もなのね」
「白ワインは血の色じゃないから」
今度は彩夏に話す。
「それでなのよ」
「色が白だから」
「そう、赤じゃないから」
血は赤いものだ、人間のものの場合は。
「間違っても緑とかじゃないから」
「それってデビルマンよ」
琴乃は緑の血と聞いてこう返した。
「いや、デビルマンは青だったかしら」
この辺りの記憶は曖昧だった、彼女達にとっては
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ