第三十八話 公的資金
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す。改革が進めば平民の力が増大します。つまり改革を進めた政府の力が増大する事になるのですが……」
俺が口籠ると義父(おやじ)殿が頷いた。
「改革を進めたのはお前だ。平民達の支持はブラウンシュバイク公爵家やリッテンハイム侯爵家にも向かうだろう」
「……全体的に見れば貴族達の力は抑えられると思います。つまり相対的には政府の力が強まる事になる……」
義父(おやじ)殿が“うむ”と頷いた。
「当家だけを恐れるということは無いでしょう。恐れるとすれば当家が他の貴族と連合する事だと思います」
「リッテンハイム侯だな。或いは一門の連中か」
「はい」
単独なら恐れることは無いだろう。有るとすれば連合した時だ。問題はそれだけのことが出来るカリスマが居るかだな。例えば俺か……、無理だな、貴族を押さえようとしている俺を担ぐなど到底有り得ない事だ。その事を話すと大公も“そうだな”と頷いた。
「わしの杞憂かな?」
大公は首を傾げている、不安そうな表情だ。
「有るとすれば当家に強い敵意を持つ人間がこの国に現れた時でしょう。その人間がこの国の実権を握った時、理性では無く感情で動かれれば危険だと思います」
「なるほど、だとすると今のところは心配はいらぬか」
「そうですね、油断は出来ませんが……」
「うむ」
大公が安心したように頷いた。十年は大丈夫だろう、十五年も問題はないかもしれない。問題が有るとすればその後だろうな、エルウィン・ヨーゼフ、こいつがどう成長するか、それが問題だろう……。
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