拝啓女王よ。妾は姉としてやれているのだろうか?
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婦さんに聞いたんだけどこの国の子どもはみんな学校って場所で勉強してるんだって。ひかりさんも勉強しているはずだから邪魔しちゃダメだよ」
昔は空を飛びたい。泳ぎにいきたい。父に会いたい。と四六時中私達にねだっていたあの子が今ではあまり我が儘を言わなくなった。
「ナタもせっかく日本に来たんだから自由に観光してもいいんだよ?」
「いえ、私は・・・」
一昨日のように唐突に行方を眩ませるのはホントに希だ。
私達はもっとルカに我が儘を言ってほしい。
本が読みたいなら点字を用いた本を作ろう。
泳ぎたいなら海でも川でも湖でも連れて行こう。
音楽が聞きたいならコンサートでもライブでもなんならかの楽曲の神を招いてもいい。
星ぼし煌めく夜の散歩に出たいというなら喜んでこの翼をはためかせよう。
「ん〜、ナタは欲がないね」
けど彼はなにも望まない。望みをはっきりと口に出さない。
「ルカちゃ〜ん。これからお洋服買いにいこうと思うんだけど?」
それをどうにかしたいと思いながら思考しているとエリスが病室に入ってきた。
「うん、いいよ。楽しんでおいで」
「・・・エリス」
私は彼女を睨み付ける。ルカを差し置いて何を言っているのか。
「いやいや、私一人じゃさみしいでしょ? ルカちゃんとナタも一緒にいくよ。もう先生には許可貰ったからさ」
ここで私は彼女の思惑に気付いた。エリスは自分を口実にしてルカを外に連れ出そうとしているのだ。さも、自分はやりたい事があるとルカに思わせて。
「うん、分かったよ。それじゃ着替えを手伝ってもらってもいいかな?」
「ハイハ〜イ。今日はちょっと格好よくしようね〜♪」
入れ違いにルカに近づくエリス。すれ違い際に私は小さくありがとうございますと彼女に礼を言って邪魔にならないように後ろに下がった。
ルカになにもできない自分を悔やみながら。
「ナタ。あんまり気に病む事はないよ?」
出かける準備をしてくるとルカちゃんに断りを入れ病院を出た私はナタと一緒に下宿先として借りているマンションに来ていた。
お出かけ用の服に着替えている最中神妙な表情のナタ。
私は姉妹として彼女を励ます。
「私は貴女の手を借りなければ病室から連れ出す事もままなりませんでした」
彼女は不器用だ何よりもルカちゃんを最優先して彼を楽しませたいと考えているが全て空回りしている。
「ネメはルカの心情を察して、貴女は器用にルカを楽しませている。なのに私は・・・」
「けど、ナタは私達の誰よりもルカちゃんを大事にしているよね? それはルカちゃんも分かっているよ。それにどんなに楽しませてもあの子が一番嬉しそうにするのは旦那様と会うこ
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