第29話 黒の破壊神
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
しかし、今度は空中に逃れる事により、難なくコレ……黒い針の奔流を躱す俺。
見た目には華麗に。しかし、内心では冷や汗もののタイミングで。
そして……。
そして、空中からラーフを睥睨する俺の姿を、やや驚いた表情で見つめる有希。
「そうか。キサマは確か龍神。それも青龍だったな。ならば、オレのように光雲を呼びだす事なく、飛べる!」
そう叫ぶように言ったラーフが、裏旋刃を一閃。
そこに生じた黒い旋風と共に地を蹴った黒い破壊神が、空中の一点に留まる俺に肉薄する!
半歩、左足を引き、空中にて迎撃の構えを見せる俺。
そして、刹那。黒拵えの鞘から抜き放たれた蒼白き光輝を二閃!
最初の斬り上げた一閃で、裏旋刃の起こした黒い旋風を相殺。ニ閃目の斬り下げた一閃が、ラーフの左肩……つまり、左琵琶骨を襲った!
しかし、世にも妙なる音色を残して、俺の二閃による致命的な傷は防がれて仕舞う。
あっけない程、単純に。
ふわり、……と言う擬音と共に、自らの呼び出した光雲を踏んで、俺と同じように宙空に留まるラーフ。しかし、その左半身は己の流した赤い液体によって、しとどに濡らしてはいたのは間違い有りません。
但し同時に、その液体を吹き出していた傷自体が、既に塞がりつつ有ったのも確かな事実では有りましたが。
「不死身、言うのは誇大広告や無かったんやな」
ラーフよりやや高い位置から見下ろすようにして、そう問い掛ける俺。
その俺自身の身体にも、ラーフの完全に振り切られる事の無かった一閃が巻き起こした風圧により、袈裟懸けに斬り裂かれた表皮から血が溢れ出して居る。
一回、何らかの形でヤツと交錯する度に、同じような手傷を負って居たら、俺の方が確実に負ける。
その事実を、この傷が改めて教えてくれましたが……。
口調は平静そのもの。しかし、現実には、戦闘では有利と言われている高所に位置取りをしながらも、ヤツの発する神力に、そして能力の差に気圧されつつあるのは事実。
平静を装っては居るけど、本当はギリギリの状態で戦っているのは間違いない。
そう。この戦いは、俺に取っては異常に分の悪い戦いを強いられて居ますから。
相手は一撃でも良いから俺に入れたら勝ち。精霊の護りが有るから判らないけど、もしかすると、かすっただけでも終わりの可能性も有る。
対して俺の方は、決まった攻撃を、相手の決まった個所に打ち込まなければ、致命傷を与える事は不可能。
「そう言う割には、かなり反則気味の武器を手にしているようだけどな」
こちらの方は久しぶりの戦いが楽しくて仕方がない、と言う雰囲気でそう答えるラーフ。
これだから、バトルジャンキーの相手は苦労すると言う事。その上、コイツの能力。不死身と言う
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ