第29話 黒の破壊神
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して仕舞う。
そして、その紅蓮の炎が上がった場所には、月下に佇む黒き影の如き破壊神の姿が存在して居るだけで有った。
いや、校庭の土に無残に焼け焦げた痕が残る以上、其処で炎の精霊たちが歓喜の舞いを舞った事だけは間違いない。
「ほう」
しかし、何故かラーフは、少し驚いた顔で俺達の方を見つめる。
そして、
「さっきの攻撃は、すこしヤバかったな」
……と、かなり感心したような口調で話しかけて来たのだった。
……少しヤバい?
戦闘時で有る事も忘れ、立ち止まり黒き破壊神の姿を見つめる俺。そう。本来ならば、ヤツが完全に無傷で有る事は有り得ない。何故ならば、俺の放った針は、ラーフの右の琵琶骨を完全に捉えた事が確認出来ましたから。
そして、太上老君作製の宝貝が欠陥品で有る可能性は非常に低い。
それでも尚、ヤツが無傷で立ち続けられると言う事は……。
「そんなに驚く必要はないだろう。オマエ達が準備をしているように、オレだって準備をして来ているんだからな」
何かを指先で摘まむようにしながら、俺と有希に指し示すラーフ。
その指先に存在していたモノは……。
「名前も名乗らない怪しいヤツだったけどな。そいつが教えてくれたんだよ。兜卒宮の爺さんがヤバい代物を準備しているってな」
神珍鉄製の針が二本……おそらくは、俺が放ったモノと有希が火炎弾攻撃開始と同時に放って有ったモノだろう。その二本の針が、ラーフの指先に摘ままれていたのだった。
「もっとも、オマエとは古い知り合いだと言う話だったぜ!」
そう叫ぶと同時に、黒き右腕を一閃するラーフ。
その一瞬後、俺と有希を中心とした地点に、複数の雷が襲う!
但し! その雷さえもまた、不可視の壁……魔法反射によって、あっさりと、ラーフに対して全て弾き返して仕舞う。
空中に浮かび上がった魔術回路が消える一瞬前に、再び動き出す俺。
しかし、名前も名乗らないような怪しいヤツの言葉をあっさり信じたって言うのですか、この黒い破壊神さまは。
もっとも、コイツの能力を知っていたら、戦おうと思うヤツは殆んどいないだろうし、知らなければ、勝負を挑んだ後に瞬殺される。故に、少々怪しい相手でも別に警戒する必要はない、……と言う事なのでしょうが。
ほぼ戦闘に直接関係のない思考に埋め尽くされながらも、俺から少し距離を取ろうとしつつ有ったラーフに肉薄。
刹那、無造作に突き出して来る破壊神の右の拳を紙一重で躱し――――
ヤツが起こす風圧のみで僅かにぶれた態勢を利用して、左手を大地に付き、身体を沈めてからの足払い!
しかし!
僅かに身体を宙に浮かべ、足払いを躱すと同時に大地に片手を付いたままの俺の頭部に向かい足を繰り出し
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