第29話 黒の破壊神
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って来たのですから。
もっとも、この黒の破壊神殿に関しては、流石に口先八寸だけでお引き取り願えるような相手では無い、と言う事だけは確認出来ましたけどね。
今の短いやり取りだけで……。
「そろそろ、始めようか」
黒い漢……伝説の破壊神ラーフが戦いの始まりを、彼に相応しく。しかし、破壊神と呼ばれるには相応しくないおだやかな口調で告げて来る。
大気すらも固唾を呑んで見守るこの静寂の世界の中心から。
そうして、
「もう、時間も残っていないからな」
そう俺に告げてから、ニヤリと嗤ったその容貌は……伝説の邪神に相応しいモノに、俺には感じられたのでした。
☆★☆★☆
俺と有希の機先を制するかのように右腕を振るうラーフ。双方の距離は約二十メートル。
ほぼ同時に、俺がアガレスを起動。
そして、俺がラーフとの距離を詰め始めるのとほぼ同時に、有希がフォルトゥーナを起動させた事を確認。
良し。これで戦闘速度と言う部分でも双方五分と五分。
状況から考えるなら、どう考えてもこちらの方が勝る可能性の方が高い。
俺と有希を、ラーフが放った黒い何かが襲う……。おそらく、ヤツの髪の毛を黒い針へと変化させた無数の飛行物体が俺と有希を襲うのと、有希が何か紙切れらしき物を空中に放つのが、ほぼ同時であった。
しかし、次の瞬間。
俺達を襲った黒い奔流は、俺と有希を護る様に空中に浮かび上がる防御用の魔術回路……物理反射の不可視の壁に阻まれ、そのすべてがラーフの元に弾き返される!
同時に、有希の手より放たれていた紙切れ。万結作成の火界呪符から数多の炎が召喚された。
そう。呪符とは作製時に霊力が籠められて居る為に、起動用の口訣と導引を結ぶだけで、ほぼ誰にでも魔法が使用出来るように成ると言う魔法のアイテム。
まして、有希に関しては現水晶宮長史によってその仙術の才は保障され、現在、俺から霊気の補充を受けて居る以上、彼女の霊気は龍の気を帯びている。
活性化した炎の精霊たちが有希の周囲を舞い、霊力に明確な方向性が付けられ――――
刹那。俺は右腕を一閃。老君より授けられた神珍鉄製の針を、ラーフの放った黒い針と、有希の放った炎の嵐の中に紛れ込ませた!
ややバックステップを行いながら、前進を開始した俺との距離を一定に保とうとしたラーフに次々と命中して行く炎の塊と、そして、ヤツ自身が放った黒き奔流!
蒼き月の光りに支配された世界を紅蓮に染め上げ、一瞬の交錯の後に、すべての勝敗は決した。
……かに見えた。
しかし――
そう、しかし!
世界その物を完全に焼き尽くすかと思われた炎が、急速にその霊力を失って行き、次の瞬間には完全に鎮火
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