第29話 黒の破壊神
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生前の俺自身にね。
「一応、俺の方にも色々と有ってな。残念ながら、オマエさんの事は綺麗さっぱり忘れて仕舞って居るんや。悪く思わんといてくれたら嬉しいな」
更に続く、軽い雰囲気の俺の答え。
まして、前回の羅?星を封印した際の記憶も、もしかすると、このヤツとの戦いの内に思い出す可能性も有ると思いますから。
もっとも、今更、そんな事はどうでも良い事なのですが。
見た目からは東洋人とは違う、彫りの深い少しアクの強い顔立ち。野性的な、少し危険な臭いのする黒き漢を正面から見つめる俺。
そして、その時に自然と口角に笑みが浮かんで来るのを感じた。
その俺の笑みに気付いたのか、黒き漢の方もごく自然な雰囲気で笑みを返して来る。
悔しいけど、少年に過ぎない俺には絶対に真似の出来ない類の笑みを……。
「このまま、素直に捕まってくれる、と言う訳には行かへんかいな。
戦うとお互いに疲れるし、面倒臭い事はゴメンやろう?」
一応、そう聞いては見る俺……なのですが。多分、この羅?星の神性や職能から考えると、それは無理な相談。
「キサマの役割……。この世界に与えられた役割がこの世界を護る事なら、オレの方が与えられた役割は、判っているだろう?」
意外と穏やかな口調で、羅?星はそう言った。いや、この呼び名は、伝説に語られる破壊神に対しては失礼ですか。
彼の出自から考えるのならば。
コイツが神として天から与えられた職能。顕われると破壊しかもたらせない神では有るけど、それでも、それまでの停滞した状況を覆すだけの強力な力を持つ邪神。
そして、この世界にコイツが顕われたのは、一度は回避された黙示録の世が、クトゥルフの邪神に因って再び起きる危険性が発生した事に対する揺り戻し。
故に、ここでこの伝承の再現が行われなければ、黙示録の再現。クトゥルフの邪神の顕現が行われ、世界自体が崩壊する。
しかし、この伝承の再現に失敗すれば、この目の前の邪神の現実界の姿。最近、発見された彗星が地球に衝突する事に因り、世界が滅亡する未来が確定して仕舞う。
この未来は、どんな方法で有っても回避不能と成る。
但し、
「残念ながら、世界を護るだけが理由なら、俺は動きたくないんやけどね。何せ、横になったモンを立てにしようとせん程の横着モンやからな」
先ほどのラーフの台詞の中の誤りを、あっさりと口にする俺。俺は残念ながら、そんな英雄的な使命感の元に、この目の前の黒き破壊神と相対する訳では有りませんから。
そんなクダラナイ事の為ならば、素直に亮たち後進にすべてを任せて、年寄りはコタツでミカンでも食べて居ます。
それが出来ないから、真冬の夜中にこんな場所にまでや
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