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銀色の魔法少女
第三十六話 親子
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side フェイト

 それは偶然だった。

 なのはと一緒にお風呂をまわっている時に、たまたま視界にその人が入った。

 紫の髪で、難しそうな顔をしているお姉さん。

 一目で分かった。

 あれは、母さんだ。

「なのは、ちょっとごめん!」

 そう言い、私は彼女に近づく。

 近づくにつれて、懐かしい感じが漂っていくる。

(やっぱり、そうだ)

 私は勇気を振り絞って、彼女の声をかけた。




side フィリーネ(プレシア)

「ええ、かまわないわ」

「では、失礼します」

 フェイトはそう言って、私の隣に座る。

 彼女は小さい声でこう言った。





             「お久しぶりです、母さん」





「…………よくわかったわね」

 私は素直に感心する。

 変身魔法を使わなかったのも、まさか十六にまで若返っている私を見破る者がいるとは思わなかったから。



 生き返り、最初に鏡を見たとき、私は驚いた。

 そこには年老いた私ではなく、この世界で言う高校生くらいの私がいたからだ。

 死体兵士は人間ではない。

 切り離したアリシアはともかく、私は遼の管理下にある。

 だから、年齢も私が生きていた間でなら自由に変えられる。

 体がいくら壊れようとも、主が無事なら修復可能。

 それが、死体兵士。

 


「わかります、あなたは母さんだから」

 曖昧な理由。

 だけども、私を見つけた。

 これは揺るがない事実。

 認めるしかない。

 遼とアリシアが言ったようにフェイトは、私の思っていたような失敗作ではない。

「それで、私に何か用かしら?」

「……あなたに言いたいことがあります」

 フェイトは立ち上がり、私の前に移動する。

 そして、私の目を見つめて、こう言った。




「私をアリシアになれなかった失敗作かもしれません、母さんの期待に答えられなかったかもしれません、だけど私は、フェイト・テスタロッサは、あなたに生み出しもらって、育ててもらった、あなたの娘です」




「………………そう」

 私はこれだけしか言えなかった。

 少し前までなら笑い飛ばしていたかもしれないが、それは今の私の心に響いた。

 確かに、この子はアリシアじゃない。

 この子は、フェイト。一つの命。



 だけど、遅かった。



「残念だったわね、あなたの母親はとっくに死んでいるわ、今ここにいるのは只の死体よ」

 もし、私がこのことに気づいていたら。

 この子をアリシアの妹として受け入
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