第三十六話 親子
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れて上げていたら、未来は変わったのだろうか?
仕方ないことだけど、つい考えてしまう。
アリシアの時もそうだった。
私はいつも、遅い。
「それでも、あなたはここにいます」
…………フェイトはあまり驚いた様子がない。
おそらく、あらかじめアリシアにそのことを聞いていたのだろう。
それじゃあ、この手の拒絶は意味をなさない。
なんて、頑固な子。
「フィリーネ・タルナート」
「え?」
「今の私の名前よ、気が向いたら訪ねてきなさい、主の許可が出たら相手をしてあげるわ」
「……はい!」
side ALL
「これより、闇の書及びブリュンヒルデの対策会議を始める」
なのはたちが銭湯にいる頃、クロノたちの住まい、現作戦本部にはクロノとリンディ、モニター上にはアースラ乗組員の皆が映っていた。
「ユーノ、ブリュンヒルデについての説明を頼む」
クロノがそう言うと新たな画面が増え、ユーノが話し始める。
「ブリュンヒルデ、これは古代ベルカ時代に造られた魔導兵器、敵味方関係なく戦場で散っていった屈強な戦士たちを取り込んで、自分の兵士として使用できる」
ついで、アリシアが話し始める。
「だけど、まともに主になった人間は数える程しかいないみたい、大抵が選別での段階で脱落、生き残ってもブリュンヒルデに取り込まれてる」
スっと、ショウが手を挙げる。
「選別と取り込まれるっていうのはなんですか?」
「えっとね、選別はブリュンヒルデが起動した時に起きる爆発のこと、この炎に触れると有機物や無機物関係なしに全部燃やされちゃうの」
「それでは選別の意味がないのでは?」
その疑問にユーノが答える。
「普通はそうなんだけど、たまに炎を超える生き残りがいて、ブリュンヒルデはその人物をマスターと認識するらしいんだ、そして、本当の悪夢はここから」
皆の目の前に新たに複数の画面が現れる。
どれも血と狂気に染まり、破壊の限りを尽くしている。
「選別程度ならまだマシだったんだけど、彼女はマスターを侵食していくんだ」
「今はまだ髪の色や口調が変わるくらいの些細な変化だけど、ブリュンヒルデを完全に扱える頃には心まで乗っ取られて、完全な兵器になっちゃう」
「では、まともな主なんていないのでは?」
「いや、実はそうでもないんだ」
今度は古い文献が表示される。
「冥王イクスヴェリアの腹心、ヴァイス・シュトロハイム、この人が確認される最古のマスターみたい」
「彼は完全に侵食を受けてもなお自我を保ち、その生涯を冥王に捧げたと伝えられているんだ」
「ユーノ、アリシア、それよ
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