劉禅、助けられる
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ワシは密告する気はないわい」
そう言って老人は笑う。
「俺をかくまって大丈夫なのか?」
「おとなしくしておれば大事ない。ワシの家は村から少し外れておるからのう」
「なぜそうまでして俺をかくまう?」
俺は警戒を解かずに問いかけた。
「なあに、ワシの自己満足じゃよ。年寄りのやることじゃ、有難く受けるが良い」
俺の刺すような視線も気にすることなく、老人は笑い飛ばした。
しかし、平穏は長く続かなかった。老人が人を匿っていることは村で噂になり、俺が意識を取り戻してから十日後、成都の兵らしき者どもが数人押しかけてきたのだ。
「老いぼれ、正直に言わぬと痛い目を見るぞ」
「ふん、お前らに媚びるワシではないわい」
「この死にぞこないがっ!」
兵達は散々に老人を殴りつける。それでも老人は弱音一つ吐かない。
(もう見てられるかっ!)
俺は物陰から飛び出していって、兵を殴りつけた。
「居たぞ、劉禅だ!」
兵達は俺の名を叫び、包囲する。
俺は後先考えずに飛び出していったので、武器は持っていない。
(やっちゃったな俺)
斬りかかってくる兵を避けるのに必死で、とても反撃なんて出来ない。俺って馬鹿だよな。
「若いの、これを使えっ」
すると老人が包囲の外から突っ込んできて、何処から持ってきたのか一振りの剣を俺に託した。
「邪魔だ老いぼれっ」
兵の一人が老人の背に斬りかかった。俺の目の前で血しぶきがあがる。
目の前で老人が倒れる。それを見た俺は、逆上して老人を殺した兵を斬った。
あとの事はよく覚えていない。
気がつけば、周囲は兵が倒れており、皆事切れていた。
(全部、俺がやったのか)
手に持った剣を見ると、血糊で汚れてしまっていた。
「……若いの」
弱弱しい呼びかけに、俺は現実に戻された。声のした方を見ると、老人が俺を呼んでいた。
「今手当てをする」
様子を見ると、かなり流血している。早くしないと、手遅れになってしまう。しかし、傷はあまりにも深く、出血を止めようがない。
「……ワシはもう助からん。それより、聞いてくれ」
「ご老人、何故そこまでして俺を助けたのだ?」
「……お主が、ワシの死んだ息子に似ておった」
老人が話し始める。
「……息子は国の為に戦争に駆り出され、死んだ。しかし、この国の主は快楽に走り、ワシら下々の者らを気にかけてはくださらなんだ」
「いいからしゃべらないでくれ。手当てが出来ない」
俺は老人の話を止めようとする。しかし老人は話し続けた。
「……息子は何のために死んだのか。劉禅殿、頼む。この国を、変えてくれ」
「おいご老人、気を確かに持て」
俺は老人の声に力が無くなっていくのを感じ、必死で呼びかけた。
「……劉禅どの、頼む」
しかし俺の
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