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クロスオーバー
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の状態であるようだ。
店内はまだ照明が明るい。ミッコはその開けっ放しのドアから中を覗いてみた。
ドアの左側の先にステージが見える。誰かがそのステージの上でしゃがみ込み何か作業をしている。
「あの、何か?」ドアの右側から声がした。
ミッコが振り向くと、そこには長身で引き締まった身体つきの日焼けした顔にアイシャドウをした男性が立っていた。
「あっ、すみません、あの、さっき電話したものですけど・・・」
「あー、オナベちゃん?」とアイシャドウをした男性が納得したように答えた。
「はい、それで面接に来たんですけど・・・」
「さっき電話を受けたのは私よ、じゃあこちらへどうぞ」とアイシャドウの男性はミッコと友達をステージ前のボックスシートに案内した。
どうぞ座ってと促されて二人はボックスシートに腰をかけた。
「そちらの方はオナベちゃんでは無いようね」とその男性が聞いた。
「あの、友達です、僕がこっちに来て分からないことが多いので今日は付き合って貰ってます」とミッコが言うとその友達が緊張したように頭をさげた。
その男性を見て友達も少し緊張しているようだった。
「あなた何処からきたの?」
「小樽から来ました」
「あら、私も北海道よ!」とその男性が目を見開いた。
「あっ何処ですか?」ミッコは緊張が解けるように聞いた。
「私は札幌よ」
「美穂ちゃんも生まれは札幌だよね?」とミッコが友達に同意を求めると友達はうんうんと頷いた。友達も出身地の話で緊張が解けたようだった。
「あらそうなの、二人とも北海道なんだ、奇遇ね」と男性も嬉しそうに答えた。その後、お互いの地元に関する話のやり取りが何回かあった後、ミッコは履歴書を取り出して簡単に自己紹介をした。そして、こういう仕事はまったく初めてであることを付け加えた。
その男性は笑顔で履歴書を受け取り、一通り目を通すと一旦横のテーブルに丁寧に置いた。
「うちはね、接客だけじゃなくてショーもやってもらいたいの、もちろんすぐにではなくて慣れてきてからだけどね、どう?興味あるかしら?あなたと同じタイプの子も何人か居るのよ」と言うと、横のステージでダンボールの中を整理している「男の子」に目をやった。
ダンボールの中には色とりどりの衣装が入っているようで、衣装とその明細が書いてある紙の内容をひとつひとつ照らし合わせているようだった。
「面白そう、やってみたら?私も見に来たい!」と友達の美穂が言った。
「僕、音感が無いから自信無いですけど、大丈夫ですか?」ミッコの声が少し弾んだ。
「それはそれで味が出るのよ」とその男性は微笑んだ。
そして思い出したように付け加えた。
「そういえば、自己紹介してなかったわね、私はパールです、この店のマネージャーもやっています。このあと時間が許せば、営業が始まるから暫く見てい
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