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最期の祈り(Fate/Zero)
嵐の後 (簡易番)
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なら、そのしょげた顔を何とかしなさいよ」
 「悪い……」
 沈黙がいたい。なんとかしようとは思っている。けど、わらえない。わらうことが出来ない。無理に笑おうとしても、顔が歪むだけだった。
 「って、無理か。あんな事が起きた後なんだから。水持ってくるから。落ち着いたら教えなさい」
 その後、一夏は何がどうなったかを聞いた。まず、一夏が二日間寝ていたこと。襲撃で死者は出なかったこと。しかし、重傷者が多数出たこと。学園を襲った敵には逃げられたこと。そもそも敵を追跡できるようになったのは、つい先日の事だということ。一夏とラウラのIS奪われたということ。そして……
 「切嗣と千冬姉が連れ去られた?」
 「楯無さんが言うにはね。連れ去ったっていう事は、多分殺すつもりはないだろうから安心しなさいって」
 そうは言っても、胸を覆い尽くす不安が消えることは無かった。
 「無理もないか……でも、あの二人よ。案外、アイツらをボッコボコにして帰って来るかもよ」
 「はは……あり得るかもな」
 姉が本気で怒り狂っているところを想像してしまった。つい、笑ってしまう。
 「漸く笑ったわね」
 「そう、かもな」
 でも、と続く。
 「気を引き締めなさい。少し、ショックなものがあるから」
 そう言うと、鈴音は付いてきなさいと、病室を出て行った。怪訝に思いながらもベッドから起き上がり、鈴音について歩く。医務室を出た廊下を歩きながら、鈴音に話しかける。
 「鈴。一体何が――」
 「ラウラよ」
 「ラウラ?ラウラが一体どうしたっていうんだ?」
 「いいから……」
 その答えは、集中治療室のガラスの向こうにあった。でたらめな数の、沢山のチューブが彼女に繋がっていた。その先には金と銀の機械が繋がっていた。
 「ラ、ウラ?」
 「心臓を一突き。それだけだ」
 振り返ると、そこには箒が立っていた。
 「箒。無事だったのか……」
 「私はな」
 視線の先にあったのは……
 「こいつは、ラウラは私達の中で最後まで戦っていた一人だ。それが……」
 「その結果が、これか」
 皮肉な結果だと思った。力が在るから戦い、その結果傷つき、力が無いから戦えず、その結果助かった。
 残酷だ。理不尽だとも思った。でも、それよりも悔しかった。代わりに戦うことが出来ず、守られるだけの自分が。
 「くそっ」
 壁を殴りつける。小さい体にびっしりと色々な器具が張り巡らされたその姿が、余りに痛ましかった。抱きしめてやりたかった。変わってやりたかった。それがただの逃避だと解ったうえで尚、考えざるを得なかった。鋭く尖った刃が華奢な体に刺さる場面が生々しく浮かび上がる。
 「切嗣は、この襲撃を解ってたんだろ……。なら何で!何でこんな結果しか……」
 理不尽な怒りだとは思うが、
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