第六十話
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いで、子供と口げんかをしているようで慣れない。生来子供が苦手なこともあるが、それは誰だって嫌だろう。
そして何より重要なことだが……男のロマンたる双丘が無くなってしまった。……もう少し具体的に言うと、胸部の肉がだ。
「……なんであんた、落ち込んでるのよ……?」
「気にしないでくれ……」
俺だって健康的な成人男性であり、アバターシステムがランダム精製だということに、机へと八つ当たりをする権利はある筈だ。悔しさから目の前の机を二回ほど叩いた後、本題へと入るために口を開いた。
「これからキリトがいるシルフの首都、スイルベーン行きの船が出るんだ。……リズも行くか?」
「もっちろん! だけどその前に、この貧相な装備を整えなきゃね」
そう言いながら、リズは勢い良く立ち上がった。今まで座っていた椅子の上に座って、ようやく俺とほとんど同じ目線であったが。
「リズ、椅子の上に乗るなよ。それに、装備を整える金なんて……」
「ふっふーん。それが……あ、る、の、よ」
リズは得意げな顔――ドヤ顔とも言うが――を披露しつつメニューを操作し始め、俺にもシステムメニューを開くことを促してきた。確かに記号だらけのアイテムストレージは確認したものの、システムメニューなどは特に確認をしていなかった。
……特に、SAOでは確認する必要もなかったステータス画面、などは。
「何だ、コレ……」
SAOの時には所持金とプレイヤーネーム、そしてHPしか表示されていなかったステータス画面には、新たに『魔法』の欄が追加されていたが、SAO時より特に変化は無かった。しかしこの場合では、変化していないとおかしい筈だ……SAOからALOという、新たな妖精の世界になったのであれば。
しかし今回はそれが好都合であり、リズが『お金はある』と言ったのはこういうことだろう。キリトアスナ程ではないにしろ、俺やリズだってなかなか稼いでいた部類に入るはずだ。
「それに……ね」
「ああ。武器は、もうあるからな……」
日本刀《銀ノ月》の兄弟刀、先程の鍛冶コンテストは残念ながら準優勝に終わってしまったが、その切れ味はSAO時の相棒と遜色はない。アイテムストレージ内で、記号の羅列と化してしまった兄とともに、また一緒に戦ってくれる筈だ。
「銘はまあ……やっぱ《銀ノ月》、かな」
「……ああ、そうだな」
元々この日本刀に設定されていた名前には悪いが、この名前は俺にとってもリズにとっても思い出深い名前であり、譲ることは出来ない名前であった。久しぶりに腰に差すということをやってみたかったが、まだ鞘が出来たわけではないので我慢しておく。
「それじゃあ、一緒に買い物に――」
「御免」
妙に古くさい口
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