第六十話
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ら。
そしてそのまま俗に言う『居合い』――俺が最も得意とする技の構えをとって、幼女が作業をしていた机へと狙いをすました。
「抜刀術《十六夜》……!」
ぼそりと呟いた言葉とともに――柄はないため抜刀術ではないが――斬撃は放たれた。俺は日本刀を元の構えに戻したが、斬られた筈の机は全く何の変化も戻さない。
自信満々に名乗りを上げた俺と、見かけ倒しだった日本刀に、観客たちから失笑が漏れてしまったその瞬間……机が時間差をもって、斬られたことに気づいたかのように、真っ二つになって大地に落ちた。
あの日本刀――日本刀《銀ノ月》の兄弟刀を造ることなど、俺が知る限り彼女しかいないし、恐らくは実際にそうだろう。そしてその彼女も、今の斬撃によって俺が誰だか解ったようだった。
「ショ、ショウキ……?」
「リズ、だよな……」
思っていたよりも遥かに早い再会に、俺は観客たちの歓声が響く中で、少し頭を抱えるのだった。俺が相談すれば何か行動を起こすだろう、とは思っていたが……彼女の行動力と友情の厚さを見くびっていた、と。
「ま、まああんただけに任せるの不安だし……それに、あたしだって少しは力になると思ったから……」
目の前の幼女のような姿をしたリズは、言い訳がましくそんなことをのたまった。どこか既視感を感じる喫茶店にて、つい数時間前と同じように、お互いで軽食をつまみながら。
……喉に詰まらせたりは出来ない。
「それは助かるけどな……リズは、大丈夫なのか?」
リズが来てくれれば百人力だったが、SAOと同じバーチャル空間であるALOに、やはり彼女には来て欲しくなかった気持ちがある。それはただの俺のエゴである、というのは解っているつもりだが、俺からしてみれば仕方のないことだと思いたい。
「あたしは……大丈夫よ。その、あんたも、いるし」
「……それは嬉しいことを言ってくれるよ」
正直に言うと照れて顔が赤くなってしまったが、彼女の方も似たような感じではあるので、どちらも触れないのが暗黙の了解である。彼女も裏声や小声になってしまってはいるが、よくもこういうことを言えるものだ。
「しかし、リズ……なんというか、凄い格好だな」
「うっ……」
リズも新たなアバターを作製しているのだから当然だが、そのアバターは先程から何度も言っているように、何故か幼女である。大事なことなのでもう一度言うが、幼女である。
現実世界の彼女の面影を残しつつも、あらやる箇所を小さくしたような外見をしているのだ。
「……あんただって、お坊ちゃんみたいな格好じゃない」
「それよりは遙かにマシだ、リズ」
リズベットならぬロリベットの姿を改めて見てみるが、どうにもその姿のせ
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