暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第六十話
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…すると、その机はハンマーが触れた瞬間に中ほどから叩き割られた。その破壊方法は、『ハンマーが一瞬にして机を壊した』か、『ハンマーに耐えきれず机から自壊した』のどちらかである事を示していた。

 レプラコーンの職人のパフォーマンスが終わった直後、隣で作業していたレプラコーンもその作業を終えたようだった。その外見は、巨漢であるレプラコーンの職人とは真逆の……幼女というべきか、子供のような身長のレプラコーン。

 しかし作業用のハンマーは軽々と振り回しているので、どことなくシュールな図ではあるが……それはともかく、作業は終わったようだが、幼女にとっては最悪のタイミングである。何故なら観客は、ほとんど全員赤銅色のハンマーの方を見ていて、彼女はそれ以上のインパクトを観客に与えなくてはいけないのだから。

 幼女が作業していた机の上に置いてあったインゴットが変容していき、ただの金属片などではなく、もちろんハンマーではないれっきとした武器になっていく。そのインゴットは長く延びていたが、槍のような長さには届かず、三尺ほどの長さでその変容は止まる。

 そうして現れた武器は――日本刀。日本の独自の製法で作り上げた刀剣類であり、黒色の柄と銀色の刀身を誇り、芸術品としても名高い美しい武具である。

 その刀身の輝きは余計な装飾をして無かろうと、それだけでもシンプルかつ美しく、一級品の日本刀ではあった。だが、ど迫力のパフォーマンスを見せた赤銅色のハンマー相手には、やはり分が悪く、観客たちの反応はあまり芳しくない様子だった。

 ……そんな観客たちの反応を横目に、俺は少しだけ声を張り上げた。

「なあ、ソレ良い刀みたいだから、ちょっと振らせてもらっても良いか?」

 突如として出された俺の宣言に、会場はしばしざわめいたものの、幼女は頑としてその日本刀を渡さなかった。その姿は作品の制作者として、見ず知らずの者に預けるわけにはいかない、というプライドが感じられた。

 しかしそこに、同じく職人である優勝候補のレプラコーンが割って入った。そして幼女が造った日本刀を、その巨漢を活かして簡単に奪ってしまう。

「良いではないか、幼女よ。私だけパフォーマンスをするのは不公平だ……その矮躯で、日本刀を振れるとは思えん」

「ち……小さいって言わないでよ!」

 幼女からの抗議と攻撃が職人を襲うが、体格的に大人と子供の喧嘩のようなものなので、レプラコーンの職人は何ら堪える様子はない。そして幼女から奪った日本刀を、丁重に俺へと渡すのであった。

「…………」

 ずしりと重い抜き身の日本刀が俺の手に渡され、その漆黒の柄をある種の確信を持って握り締めた。……世界は違ってもあの刀の『兄弟刀』であるならば、その手触りや切れ味は同じであると、再確認しなが
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