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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第三十七話 救済
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、ブラウンシュバイク公爵家はどうするのだ? 連中に援助するのかな?」
「それなのだがな、リヒテンラーデ侯。エーリッヒは帝国政府が貴族の救済を行った方が良いだろうと言うのだ」
「政府が? 借金を肩代わりしろと」

「政府が債権者から債権を買い取る、つまり政府が債権者になるわけだな。その上で政府への返済は無利子で行う事にすれば貴族達にとっても悪い条件ではないとエーリッヒは言うのだが」
大公と国務尚書の遣り取りに皆の視線がブラウンシュバイク公にと向かった。

「ブラウンシュバイク公爵家が肩代わりをすれば公爵家の勢威はこれまで以上に大きくなります。おそらくはリッテンハイム侯爵家も同様の状況になるでしょう。政府にとって望ましい事とは思えません、こちらも無用な疑いを受けたくない」
「なるほど、公は慎重だの」

大公、リッテンハイム侯、リヒテンラーデ侯が渋い表情をしている。両家が政府と対立していた頃を思い出したのだろう。公が養子になってから一年ちょっとしか経っていない。誰もが皆あの当時の緊迫した情勢を忘れてはいない。いつ内乱が起きるかと皆が怯えていた。

「それにここで政府が貴族達を救済しておけば平民達に控訴権を与えやすくなります。貴族達は反対するでしょうが帝国は改革によって平民達だけを優遇し貴族を押さえ付けようとしているのではない、貴族達もその恩恵に預かっているはずだと説得する事が出来ます」
「なるほどの」
リヒテンラーデ侯が相槌を打つと皆が頷いた。

「有難い話ですな。正直に言えば法は作っても施行が可能なのかどうか案じておりました。貴族達にとっては受け入れがたい法律の筈です。しかし、それならば貴族達も渋々ではあれ受け入れざるを得ないでしょう」
ホッとした様な声を出したのはルンプ司法尚書だ。その声にさざ波のように笑い声が起きた。



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