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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第三十七話 救済
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事だろう。

「どう思うかな、エーリッヒ」
「そうですね、頼られたのですから助けねばならないでしょう。ただ……」
「ただ?」
大公とエーリッヒの遣り取りに二人が不安そうな表情を見せた。エーリッヒは無条件に賛成していない。

「ハルツ男爵、ヴォルフスブルク子爵、借金で困っているのは御二人だけですか? 他にも居るのではありませんか?」
エーリッヒの問いかけに客人達が顔を見合わせ困惑した様な表情を浮かべた。
「おそらく居ると思います。税の制限は困ったという話は彼方此方で聞きますから……、そうであろう、ヴォルフスブルク子爵」
「多分」

その答えにまたエーリッヒが溜息を吐いた。
「義父上、この件ですがブラウンシュバイク公爵家の預かりではなく帝国政府の預かりとした方が宜しいでしょう」
「皆が当家に援助を求めればブラウンシュバイク公爵家といえども危ういか……」
大公が顔を顰めている。面白くないのだろう、だがエーリッヒの懸念はもっともだ、否定は出来ない。

「それも有りますがそれ以上に拙い事が有ります」
「拙い事?」
「ブラウンシュバイク公爵家が借金を肩代わりした場合、当家への返済は長期に亘ります。その期間は当家の勢威が今以上に強くなるという事です。心配される方が居るかもしれません」

なるほど、そちらか。大公が腕組みをして唸り声を上げている。ブラウンシュバイク公爵家が、リッテンハイム侯爵家が存続の危機に陥ったのもそれが理由だった。自家の勢力拡大に余りにも無神経に熱中し過ぎたのだ。ブラウンシュバイク公爵家が救済に乗り出せば理由は違うとはいえ行き着くところは同じになりかねない。ハルツ男爵とヴォルフスブルク子爵は心配そうな表情だ。

「今は政府、軍との協力は上手く行っているが……」
「十年後、十五年後は分かりません。油断は禁物でしょう」
「なるほど……、お前は慎重だな」
「貴族の中には税の制限を貴族に対する抑圧と取る者も居るでしょう。それを払拭するためにも政府が全面に立って救済するべきだと思います」

大公が頷いた。
「卿らはどう思うかな?」
「お任せ致します、どうか我らを助けてください」
ハルツ男爵が頭を下げるとヴォルフスブルク子爵もそれに続いた。



帝国暦487年  11月 15日  オーディン  ブラウンシュバイク公爵邸   フレーゲル内務尚書



「なるほど、借金が払えんか」
「うむ。二人の話では結構他にも厳しい貴族がいるのではないかという話だった」
「うーむ、ウチにも来るかな」
「かもしれんな」
リッテンハイム侯とブラウンシュバイク大公の会話を四人の男が聞いていた。ブラウンシュバイク公、リヒテンラーデ侯、ゲルラッハ子爵、ルンプ司法尚書。私も入れれば五人になる。

「それで
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