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アマガミフェイト・ZERO
〈……一方その頃〉
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ら全てを弾き飛ばす。あさっての方向に飛んでいった武具が、それぞれ爆発を引き起こす。
「汚れた塵が王の所有物に触れるでないっ! いい加減貴様を見るのも限界だ」
 アーチャ―が、宝物殿へ続く光のゲートに手を入れ、何かを取り出す。
「我が輝けるバビロニアには、貴様にような塵屑はいらぬっ!」
 高々と掲げられた両手が掴んでいるのは、光り輝く黄金の仮面だった。太陽とも百獣の王とも見える、荒々しく勇猛な形をしている。アーチャ―が、ゆっくりと腕を降ろし、神々しい仮面を装着した。
「か、仮面英雄イナゴマスク、じゃなイカ!」
「ゴ、ゴールドレオさん!? え、でも、少し違う……?」
「あれはエインシャントレオ。世界最初の仮面英雄にして、伝説の最強戦士」
 紗江の顔がぽぉっと上気した。
「エインシャントレオ……。が、がんばれ〜」
「汚物よ! バビロニアの光で欠片も残さず消し去ってくれる! 眼前より消え去れいぃぃぃっ!」
 憤怒のアーチャ―の背後の、ゲートオブバビロン全てが眩く輝き始めた。やがていくつかの点へと光は収縮していく。一瞬閃光が煌めき、無数の鋭い光線が宝物殿から発射された。凄まじい速度の光線が超イカ男へと襲いかかる。
「あ、熱いじゃなイ、イカァァァァァァァァァァァ!」
 光線に飲み込まれた超イカ男が炎上する。
「す、すごい……。あの技は、いったい?」
「名付けてスーパーイナゴブラスト」
 驚嘆する紗江と、あくまで冷静な言峰が見つめる先で、超イカ男の身体が崩れ落ちてゆく。
「あ、在り得ないじゃ、なイカ……。か、怪人達の怨念が、闇へと、に、逃げ還っていくじゃ、なイカ……」
 だが唐突に超イカ男が笑い始めた。
「イカーーーーッカッカッカッカ! だ、だが、これでお前は、わ、我が怪人帝国に狙われる事になった……。お、終わりだ、エインシャントレオ。イイカ、これ……からが、じ、地獄の、幕開けだ……」
 超イカ男が天を仰ぐ。
「わ、我らが、怪人帝国ネロ・カオスに栄光あれっ! イカァァァァァァァァッ!」
 超イカ男がゆっくりと倒れ、そして轟音と共に爆発した。

「た、倒したんでしょうか?」
「ふん、汚物共の帝国だと? 俺が居ない間にずいぶん、頭に乗る連中が現れたものだ」
「で、でも、ね、狙われるって。も、もしかして、こ、これから、あんな気持ち悪い、ば、化け物が、いっぱい……」
 紗江が涙を浮かべ、顔を両手で蔽い隠した。
「ご心配無く。所詮あれは、聖杯の力で具現化した妄念。同様に、その口から出た言葉もまた空虚な絵空事。怪人帝国などありはしませんよ」
 紗江の側に居る言峰は、未だに油断なく辺りを見渡す。
「綺礼様、申し訳ありません。もうこの家には誰も居ないようです」
 影から狐面の人影が現れ、片膝を付く。
「どういう事だ?」

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