第13局
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瀬に困惑するヒカルと、奈瀬の言葉に眉をしかめるあかり。
「あかりちゃんには教えてあげてるんでしょ?時々でいいから私にもお願い!」
「いや、だからさ…。」
「だったら、私と勝負してください。」
硬い声で奈瀬に告げるあかり。
いつになく厳しいあかりの態度に、ヒカルと佐為は驚いた。
「私に勝ったら、時々ヒカルと打つのを許してあげます。」
「ちょっ、あかりっ、何勝手に言ってんだよ!」
「ヒカルは黙っててっ!」
あかりの剣幕に、思わず言葉を飲み込むヒカル。
―おおっ!あかり、燃えてますね!
「あかりちゃんに勝てば、ヒカル君と打つのを認めてくれるのね?」
「はい。私に勝てばですけど。」
二人の視線が厳しくぶつかり合う。そして、ヒカルを差し置いて対局が始まった。
盤上はすでに中盤を終えた。
―やっぱりあかりの方が力は上か。勝負は見えたな。
ヒカルが二人の対局を止めなかった一番の理由は、二人の棋力だ。
先日の対局から考えて、あきらかにあかりの方が強い。
そうと分かっていても心配だったが、もはや勝負はついた。
―どうなることかと思ったけど、何とか切り抜けれそうだな。
ヒカルは内心、ほっと胸をなでおろした。
あかりもほっとしていた。
ここまで来たらもうひっくり返されることもない。
私の勝ちだ。
奈瀬には悪いが、ヒカルとの時間はあかりにとって大切な時間だ。
邪魔されるのは嫌だった。
奈瀬は身を乗り出して盤面を眺めていた。
途中から気づいていたが、あかりは強い。
自分よりも強い。
何とか必死に喰らいついていったが、それもここまでだ。
勝てないことが、もはや勝負がついてしまったことが分かってしまった。
盤上にポタポタと雫が落ちた。
奈瀬の目から大粒の涙が零れ落ちていた。
ギョッとして奈瀬を見るあかりとヒカル。
まさか、泣き出すとまでは思っていなかった。
両手で顔を覆い、涙をこらえる奈瀬。
「わ、私、ほ、本気でヒカル君の碁に感動したの…。だ、だから、どうしてももっと打って欲しかったの…。ヒカル君との対局のあとは、碁の勉強も楽しくってね。次の対局のときのために、一生懸命にがんばったの…。」
そんな奈瀬を見て、さっきまでの強気の様子を一変させて、おろおろとうろたえるあかり。
「ヒカル君と打てればもっともっと強くなれると思ったんだけどな…。もっと楽しい碁を打てると思ったんだけどな…。負けちゃった……。」
そう言って、うなだれる奈瀬。
その様子は、本気で落ち込んでいることが分かった。
その奈瀬の様子を見ていた佐為が口を出した。
―今日だけ私が打ってあげましょう。
その佐為の言葉に目を剥くヒカル。
―ヒカルが私のことを心
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