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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
一部:超絶美少女幼年期
四十三話:六歳の決意
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!生き、延びろ……!そして、幸せに……なって、くれ……!」
「!!」

 助けろって、言ってよ。
 マーサさんを、お母さんを。
 まだ、生きてるって。助けろって、言ってよ。
 絶対に、助けるから。
 あなたの言葉を糧に、頑張るから。

「いいか、父は、……母も……!幸せ、だった……!短くとも、お前と、ドーラと、過ごせて。幸せ、だった……!」
「お父さん……お父さん……」

 違うんだよ、(ドーラ)じゃ無いんだよ。
 偽物だったんだよ、全部。
 そんなので、満足しないで。
 もっと、求めてよ。
 (マーサ)より、偽物(ドーラ)を選ぶなんて。
 そんなの、ダメだよ。

 ゲマが、笑う。

「ほっほっほっ!いいですねえ!美しいじゃ、ないですか!美しい、親子愛ですよ!その美しさに免じて、(とど)めは、私自ら!刺してあげましょう!」

 ゲマの指先に小さな火球が生まれ、みるみる大きく育っていく。

「……お父さん!私!諦めませんから!絶対に、諦めません!!」

 あなたが、諦めても。
 教えても、くれなくても。
 (マーサ)を助けることも、(パパス)を助けることも。
 絶対に、諦めない。

 パパスが、微笑む。
 巨大な火球が、ゆっくりと放たれる。

 骨の折れた足で、それでもしっかりと立ち上がり、まっすぐに火球を受け止める。

「ドーラ!!愛して」

 炎に焼かれて、最後まで言い切ることは出来なくて。

「お父さん……!!」

 それが、私に向けられた言葉ではなくても。
 私も、あなたを。
 お父さんを、そしてお母さんを。
 愛して、ます。

 いつか、ちゃんと。
 真実と共に、伝えます。


 ゲマの高笑いが、響き渡る。

「ほっほっほっ!おっほっほっほっほっ!美しい!本当に、美しいですねえ!!ご安心なさい、あなたの大切な娘は、我が教祖様の奴隷として!一生、幸せに暮らすのですから!!」

 甲高い、耳障りな笑い声はしばらく続き、やがてピタリと止まる。

「ジャミ。ゴンズ。この子供たちを、運び出しなさい」
「はっ!」
「このキラーパンサーの仔は、いかがいたしましょう」
「捨て置きなさい。野に返ればやがてその魔性を取り戻し、少しは教祖様のお役に立つでしょう」
「畏まりました」
「……ん?少し、待ちなさい。その、娘のほう」

 不快な指が、私の道具袋を探る。

「この宝石は……。いや……。……どちらにしても、こうしておきましょう」

 金色に光る宝玉が、砕け散る。

「不快な光で、手が汚れてしまいました。さ、行きますよ」

 空間がぶれて、景色が失われる。
 満ち足りた顔の魔物たちに、荷物のように運ばれる。


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