第百三十五話 退きの戦その三
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「いざという時は砦の一つや二つ」
「御主はまさに呂布じゃのう」
「あの三国志の豪傑ですか」
「武はな」
呂布はよく裏切った、しかし慶次は裏切らない。そこが大きく違っていた。
「まさに呂布じゃ」
「では呂布の様に暴れてみせましょう」
「その時は頼むぞ」
「はい」
こうした話をした、そしてだった。
彼等を入れて合わせて八騎で進もうとする、だが。
また後ろから声がしてきた、その声には信長と慶次以外の者が思わず声を止めた。
「なっ、御主が!?」
「御主が何故ここに!」
毛利と服部は思わず身構え信長の前に出た、そのうえでその者に言うのだった。
「まさか裏切ったか」
「朝倉についたのか」
「ははは、違いますぞ」
その者は問われた言葉を笑って否定した。
「それがしが必要かと思いまして」
「来たというのか」
「ここに」
「左様です」
こう言うのだった。
「ですから」
「信じられぬわ」
奥村が最初に言う。
「その様な言葉は」
「そうじゃ、ここはじゃ」
「何を企んでおる」
毛利と服部も剣呑な目で言う、その者を見て警戒する声が相次いでいた。都へ急ぐ信長に何かが起ころうとしていた。
羽柴は遂に敵の攻撃を受けた、朝倉の二万の大軍が来たのだ。
朝倉の軍勢は歓声を挙げて殺到してきた、羽柴はその大軍を見て後詰の者達にこう命じた。
「まずは鉄砲じゃ」
「それで撃つのですな」
「まずは」
「うむ、そうじゃ」
「そして鉄砲の次は」
「何を仕掛けますか」
「弓じゃ」
それだというのだ。
「弓で撃て、よいな」
「そして最後は長槍ですな」
「それで防ぎますか」
「とにかく敵を近寄らせぬな」
羽柴は迫る大軍を見ながら冷静に言う。
「何としてもじゃ」
「はい、わかりました」
「それでは」
足軽達も羽柴の言葉に頷く、そうしてだった。
鉄砲隊がその手に持っている鉄砲を構え数を頼りに来る朝倉の軍勢に鉄砲を放つ、ただ倒しただけでなく音でも驚かせる。
その驚かせた彼等に矢をつがえて放つ、鉄砲で驚いていた朝倉の軍勢は矢も受けそれで完全に怯んでしまった。
それを見てだ、羽柴は素早く命じた。
「長槍を使うことはない」
「ではですか」
「今のうちに」
「うむ、下がれ」
そうせよというのだ。
「下手に残ってはやられてしまうわ」
「まずは下がることですから」
「だからですな」
「その通りじゃ、残って戦ってはならん」
それは絶対にだというのだ。
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