暁 〜小説投稿サイト〜
ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
一部:超絶美少女幼年期
三十八話:敵情視察は大切です
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「次の王は、ヘンリー様か、デール様か。よほどのことが無い限り、長男のヘンリー様なんだろうが。肝心のご本人に、やる気がなあ」

 これはまあ、わからんでは無い。
 ゲームでも、お世辞にもやる気があったようには見えなかったし。

 ……なのに、何?
 この、漂う違和感は?


 厨房の女性の証言。

「みんな、ヘンリー様を大人しすぎるだの、やる気が無いだのって言うけど。あたしは、そうは思わないね。小さいときお母上を亡くして、王様は新しい王妃様をもらって。その王妃様と、その息子で弟君のデール様を立てて、一歩引いて振る舞うだなんて、なんとも健気じゃないかい。あの聡明さは、まさしく次の王様に相応しいと、あたしは思うね!」

 だから、誰だそれは!!
 なんなの?このヘンリーは。

 誰か、誰か!
 私の知ってるヘンリーを、知ってる人は、いないの!?


 厨房の男の証言。

「わっ!!……ああ、びっくりした。てっきり、ヘンリー王子かと。……いえね、あの大人しくてお優しいヘンリー様が、おかしな話なんだけど。俺がカエルをキライなのを知ってて、背中にカエルを入れてくるんだよ。俺だけ嫌われてるのかと思えば、それ以外はそうでも無いし。構ってほしくてそうしてるのかと思うと、強くも言えなくてね。でもあれだけは本当に、勘弁してほしいなあ」

 あ、ちょっと正しいヘンリー成分が出てきた。

 でも、足りない!
 これだけじゃ、全然足りないよ!
 どうなってんの、本当に!


 厨房の女の子の証言。

「あら。あなた、ヘンリー様の遊び相手として、呼ばれた子?……ふ、ふーん……そう、なんだー……」

 ……今のは!
 わかる!わかるよ!
 競争相手として認識した上に、一瞬にして敗北を悟ってしまった、女の目!

 ちょ、ま!
 ドーラちゃん相手では、女として完全に負けた感を、感じてしまうのはわかるけれども!
 勝手に恋敵認定した上に、あっさり諦めて、譲らないで!
 いらないから!
 本命のマリアさんが控えているとはいえ、変に外堀を埋めるようなことは、本当にやめて欲しい!!

 ていうか、マジでなんなの?このヘンリー。
 女の敵なの?
 モテモテイケメン(美女)ライフを目指す上ですら、私の敵なの!?

 ……負けない!
 モテモテイケメン主人公の座は、性別の違いという障害を抱えていても、譲らぬ!!



 ということで、どうやら想定以上の強敵であるらしいヘンリーの情報を集め終え、頭の中で対ヘンリールート回避プランを練り直し、さらにイケメン主人公ポジ死守プランも新たに組み込みつつ、宿敵(ラスボス)の部屋に向かう……前に、念のため王妃様とデール王子の部屋に向かう私。


 王妃様の証
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