下
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がままなのだろう。
「そんなの知らないな。」
彼は私の考えすべてを否定するかのようにいった。
「俺は当たりの事をしただけだし、そんな
訳のわからない場所に連れて行ってもらう義理はない。」
私は言い返そうとした。「それに――」しかしあえなく彼に遮られる。
「好きなんだ。」
えっ?――振り返り、彼に聞き返す。
「俺、亀が好きなんだ。」
無邪気な笑顔に爽やかな白い歯。
一瞬、ドキッとしたが、なんだかずれているような気がしてきた。
「は……はあ。」
なんだかおかしな告白。
いや、これは一体何だろう。
――この笑顔に、私は落ちた。
このまま、二度と彼には会えなくなるかもしれない。
赤く燃える夕日に照らされ、胸が熱くて苦しい。
でも、今なら私の引っ込み思案な気持ちも、伝えられるかもしれない。
そんな気がしていた。
水平線と夕日が一つになるように、私の気持ちも彼と一つになれるような気がした。
「私を――私を……捕まえて。」
精一杯。精一杯のわがままだった。
どうせ願ってはいけない望みなら、叶うはずのない恋ならば、
いっそ当たって砕けてしまいたい。
「私を飼って。」
その言葉と一緒に、海に溶け込んで消えていきたい。
私の顔も、体も夕日のように赤く赤く燃えて、燃え尽きてしまいたい。
「私を……あなたのペットにして。」
--------------------------------------------おわりw
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