上
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こうらのこい。上
――恋がしたい。
私だって恋がしたい。
あなたが好きですって胸を張って伝えたい。
私だけのものになってくださいって。
そんなわがままなまごころを伝えたい。
「……こんな私でさえ、なければね。」
引っ込み思案の私は、いつも自信がなかった。
私には亀のように固い甲羅があって、都合の悪いときはその中に逃げた。
ひとりぼっちのとき。
苦手な人が近くにいるとき。
グループを作らないといけないとき。
異性に話しかけられそうになったとき。
――まだまだ、数えればたくさんある。
たとえば、私は運動音痴だから、極力運動を避けてきた。
いつも頭をよぎるのは、「上手くいきっこない。」「笑われる。」「バカにされる。」
だから、「恥ずかしい。」
そんな自分はもちろん嫌でたまらなかった。
だけど私には固い甲羅がある。
きっと、これは私の性格なんだ。
人の性格は、簡単には変わらない。
そんな私は、よく嫌がらせをされた。
異性は私をからかうし、近くでひそひそ話もされた。
でも、私は平気だった。
軽く小突かれたり蹴られたりするのだって、
何の苦痛も感じなかった。
それは全部、甲羅のおかげ。
でも、彼に出会ってから、私はその甲羅が嫌になった。
――ある日、彼は突然私の目の前に現れる。
「おい。お前ら、やめろ。」
彼は、程よく焼けた褐色の肌が爽やかだけど、少し大人びた雰囲気だった。
「なんだよ。だってコイツおかしいんだもん。」
「ちょっとからかってるだけじゃん。」
反論する声。
「ごちゃごちゃ言わずにやめろよ。」
彼はひるまず割って入り、私をいじめる相手をにらんだ。
「どけよ。」
「…………っ!?」
決して一歩も動かず、相手の拳を掴む彼。
「大丈夫かい? お嬢ちゃん?」
彼が現れてからあっという間に、私は彼と二人だけになった。
さっきのあいつらが、どんな悔しそうな顔をしていたかは、
彼は知ったこっちゃない、といった風だった。
「どうして黙ってたんだ? 何ではっきり嫌だと言わない?」
彼は、私の目を真っ直ぐ見ていた。
私は呆気にとられてボーっと黒い瞳を見つめていた。
気づけば私の両手を取っている。
「き、きゃー!! 」
異性に手を取られるなんてこと、初めてだった。
それに気づき、私は意識を取り戻す。
条件反射だろうか、思わず手をひっこめる。
私の心臓は珍しく早く動いていた。
「どうした、顔が赤いぞ? 風邪で
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