追想〜蟷螂の斧〜
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「おお・・・・・・・聞いていたよりもさらに数段速い。」
ぼとり。エンフィードを握ったまま右腕が通路に落ちて不快な音を立てる。HPも少なからず減少しているはずなのだが、焦る様子は全く無い。その不気味な微笑は深まるばかりである。
「ほほぅ・・・・・・・この五名と片腕で戦うのは流石に不可能だ。では、私も奥の手を使わせて頂きます。」
す・・・・・・と、緩やかに振り上げられた残りの片腕を掲げ、斑猫はこう呟く。
「来い・・・・・・蟷螂」
ぬるり・・・・・・と言う擬音が相応しいだろう。
一切抵抗無く突き出た刃は、そのまま縦横無尽に通路の硬い床を走り回り、バラバラのガラクタになり下がる。そこから現れたのは・・・・・・
「か・・・・・・蟷螂・・・・・・だって?」
先頭でその異様を見上げたシュピーゲルが、全員の思いを代表して呆然と言う。まごうことなき蟷螂だった。・・・・・・ただし、巨大過ぎる上、全身が機械仕掛けの。
オレンジ色の非常灯を反射させる体の色は、深い森の様な濃く美しい緑色。細長く伸びる胴体部から伸びる足はしっかりと地面を噛んでおり、完全な陸戦型であることがわかる。
何より、最も目を引くのは掲げられた前肢に備え付けられたブレードだろう。あたかも逆手に握り込んだように伸びる細い刀身を掲げ前肢を拡げる様はそのまま生き物の蟷螂の如く生物的で、此方に本能的な恐怖を植え付ける。
その複眼が、シュピーゲル達を捉えた。
「ダイン!合わせろ!」
ダインとペイルライダーが一気に攻勢に出た。SIGとアーマライトから、凄まじい量の弾丸が吐き出され、蟷螂の上半身に殺到する。もちろん、五メートル近い大きさを誇る蟷螂は回避出来ず、見たところ唯一の武器であるブレードを防御のため犠牲にはしないはずだ。
「蟷螂・・・・・・・やれ」
キィィィン。と澄んだ音を立て、巨大な蟷螂はその巨体に見合った長大な刃を打ち合わせた。
そんなことをした所で弾丸を止められない・・・・・・そんな思考は、起きた現象に引き裂かれる。
ズバァァァァァァァァァ!と響く衝撃波が、円環状に広がり、あらゆる物体を凪ぎ払ったのだ。衝撃波はそのまま壁になり、幾多の弾丸を弾き返す。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
時折壁にぶつかりながら後方へ吹っ飛び、元々彼らがいた入り口近くの広場に飛び出す。あわやぶつかる・・・・・・・とヒヤリとするが、幸い勢いが揺るまり、床に転がる。
「まずいな・・・・・・・あいつ、自律戦闘兵器(ドローン)だぜ、あれだけ大型で強力なのは初めてだけどな・・・・・・・」
「ドローン・・・・・・ALOで言うところのテイムモンスターか!っやべぇ!来るぞ!」
凄まじい速度で通路を飛び出した蟷螂がそのままの速度でブレードを振り下ろ
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