『祭』 午前〜正午
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
見せながらそう答えます。
「そうですか。女の子の肌に傷が残るのはなるべく避けたかったら跡が残らなかったのなら幸いだわ」
ラリサ代表は傷のあった部分を自分の手で触って確認する。実はそんなに悪い人じゃないのかな。ただ仕事だったからそうしただけ、とか?
「おい! カルラから離れろ!」
「あら?」
「く、クロエ?」
部屋中に響く声に部屋の中にいた全員の視線がクロエに集中します。クロエはそれを気にする様子もなく大股で私とラリサ代表の間に入ってくると、私の腕からラリサ代表の手を振りほどきました。そう言えばクロエは銃を突き付けられましたもんね。私より良い印象を持っているわけがありません。
クロエは振り払った方とは逆の手で私の手を取ります。
「行くぞカルラ」
「あ、うん」
「またね、お二人とも」
「二度と会わないことを祈る!」
クロエは私の腕を持ったまま部屋の外へ出ました。あの、クロエ? そろそろ腕が痛いんですけど離してほしいなー、なんて……その思いが通じたのか目的の場所に着いたのかクロエが私の手を離してくれました。
「さってと……次どうすっかなあ」
「え、目的地無し?」
「いや、あいつから離れることしか考えてなかったし……」
ま、まあ私のことを思ってくれたって言うのは分かりましたからいいですけどね。
「あ、あの〜……お暇でしたら1年4組の脱出ゲームに参加しませんか〜?」
「お?」
後ろから掛けられた声に二人同時に振り向くとそこにはユリアさんが立っていました。そう言えばIS学園では合同授業以外でもユリアさんとはまともに会話したことなかったかもしれません。
「クリアできれば景品もありますしよろしければ是非」
「ふーん、2人とも候補生って分かっていてそういう誘いするってことは随分難しいゲームなんだね」
「い、一応クリアした人は出ていませんよ。まあ1年1組にほとんどお客さんが行ってるっていうのもありますけど……」
「す、すいません」
「あ、いえ。カルラさんが謝ることでは……こちらこそ愚痴みたいなこと言ってしまってすいません」
私が軽く頭を下げるとユリアさんはワタワタ慌てて私より深くお辞儀をしてしまいました。
「じゃあまあ参加してみるか。案内してくれ」
「は、はい」
ユリアさんに案内されて4組の教室に入ります。「脱出ゲーム」と簡潔に書かれた看板。迷路かなと思って中に入ると教室は簡素な壁で区切られた狭い通路になっていました。何故か壁がビニールでコーディングされていますけどやっぱり迷路……
「えっと、このパーテーションで区切った通路を教室の後ろの扉まで抜ければクリアになります。ちなみにどのルートを通っても
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ