覇は未だに唱えられず
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尽な死を否定するという願いは共感できるし、あそこまで開き直ったらついて行きたくなるというの気持ちは理解している。
ただ、強いて言うなら親友と。
どちらとも同じクラスメイトなどを友と呼んでいるのに、この二人の強固な絆が発生した所以が解らない為、少々判断が全員解らないのである。
お互い、そういうのはあんまり上下などしない人間に思えるから余計に。
そこに一つ声が放たれた。
「───笑っている」
全員でその呟きに反応する。
呟きの主は声で既に分かっているし、彼が何を見てその呟きを発したのかも全員理解している。
「笑っているって……熱田先輩がですか? それは別に───」
「───あの笑顔は今を楽しんでいるものじゃなくて先に期待する笑顔だ」
何時も通りと答えようとする言葉を遮って喋る答えに思わず、全員が会議と共にばらばらに別れてはいるが、梅組が映っている表示枠の内の剣神が映っているのを見る。
笑っている。
彼はそういえば三河での宣言があってから終始笑っているように思える。
無論、別にずっと笑顔というわけじゃなくて状況に応じて表情を変えたりするからおかしな事ではないのだが……ハクはその笑顔は未来に向けたものであると判断した。
「過去を忘れず、今を感じ、未来に疾走する事が我が生き方也。つまり、そういう事なのだろう。若はその生き方を貫く覚悟をとうに終えている」
過去を忘れたわけじゃない。過去は常に彼は覚えている。忘れるはずがない。
今を無視しているわけではない。今を常に彼は感じている。その幸福を噛み締めている。
だからこそ、その魂は更なる未来を求めている。
まだだ。もっと欲しいという現状の幸福のみで我慢できないという傲慢な強欲。
その生き方を───どこかの誰かに似ていると気付いているものは気づく帰結。
「……逆に言えばこれからが本番ということだ……私は若と道を共にするのは決定している。君達は好きにしろ」
「ハッ、水臭いっすよハクセンパァイ! 俺だってあの人に拾われた恩があるんですから存分にやらせてもらいますよ!!」
「だから、声が大きいって……まぁ、それについては同感だけど。ハクさんや留美さんには全然、及びませんが出来る限り、自分のやりたい事をさせてもらいます」
「僕は元より。誰に言われるまでもなく。というか、基本、僕はやりたい事をするしか出来ないので」
成程、とハクは苦笑の響きで言葉を吐く。
単純、などとは言わない。
そんな輩はこの熱田神社にいないことは理解しているし、知っているつもりである。
ここにいる人間は自分の中の論理を信じて疾走する人間が集まっている。
要は馬鹿の集まりである。
全員が、それぞれの武や内面に没頭しているのを確認すると、ハクは一人密かに目を閉じて独
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